このページの目次
朝日新聞 2017年 | 久喜市立太東中学校演劇部 みんなの才能 舞台で輝く |
久喜市情報誌「クッキーズ」 2016年 | 中学生演劇の輝き |
埼玉新聞 2009年 | 「魔術」 感動が広がった創作劇 |
Z CLUB中学コース月刊誌2009 4月号 | 特集 部活に燃える2009 久喜中学校演劇部 |
読売新聞 2007年 | 絶滅危惧種コガネグモ久喜市で発見 |
埼玉東部読売 2006年 | 「青空」 関東演劇コンクール 最優秀賞受賞 |
朝日新聞 2002年 | 「降るような星空」 跳ねて踊ってけいこに熱中 |
埼玉新聞 2002年 | 「降るような星空」 自然と生命の尊さを訴える |
朝日新聞埼玉少年少女スポーツ2001年 |
「八月の魔法」 人間の純粋さと愚かさが伝わってくる舞台 |
朝日新聞埼玉少年少女スポーツ2001年 | 「夏休み」 中学生にしかできない演劇を! |
朝日新聞埼玉少年少女スポーツ2000年 | 「怪談の多い料理店」 皆でつくりあげた最高のエンターテイメント |
毎日新聞サラダハウス2000年 | 「怪談の多い料理店」 見えないものを見る、想像力の大切さを伝える舞台 |
毎日新聞2000年 | 「雪物語」 自然と人間のつながり感じて |
朝日新聞埼玉少年少女スポーツ2000年 | 「雪物語」 ピュアでストレートな演技に感動の輪 |
読売新聞1999年 |
「この人と」 読売新聞で斉藤俊雄が紹介される |
読売新聞1999年 | ジャリリ監督 太東中学校を訪問 演劇部の舞台絶賛 〜心が動かされた〜 |
読売新聞1999年 | 「化鳥伝説」 2時間の大作 観客の感性をくすぐりたい |
毎日新聞くりくり1999年 |
「化鳥伝説」 客席と舞台が一体に |
読売新聞1998年 | 「生命の交響曲」 ナイフや銃の社会問題 中学生が劇で訴える |
朝日新聞1998年 | 「生命の交響曲」 ナイフや銃は、争いの解決につながらない |
演劇と教育 | 「降るような星空」・晩成書房戯曲賞大賞受賞劇評 ◆ショーレ・ゴルパリアンさんからのメッセージ |
毎日新聞くりくり1997年 | 「赤と青のレクイエム」 透明さと純粋さがきらめく舞台 |
埼玉新聞1997年 | 「赤と青のレクイエム」 オリジナル脚本で差別テーマに演劇 |
読売新聞1997年 | 太東中学校演劇部員 絶滅危惧種ミゾコウジュを発見 |
月刊ドラマ | 「夏休み」・NHKドラマ番組チーフプロデューサーの劇評 |
埼玉新聞1992年 | ジャズダンスフェスティバル 黒浜中学校演劇部 新鮮さで県知事賞に |
埼玉新聞1991年 | 「夏休み」 初の単独外部公演 蓮田市立黒浜中学校演劇部 |
読売新聞1990年 | 「LOVE」 1度に10倍楽しめます 郡舞やマジックでショーアップ |
埼玉新聞1990年 | 「LOVE」 ジョイント公演に拍手の嵐 |
跳ねて踊ってけいこに夢中
創作劇「降るような星空」
20日 市民芸術祭で再演
高度な演劇活動で知られる久喜市立太東中演劇部が、今年も20日に開かれる市民芸術祭で、 1時間40分の創作劇を披露する。顧問の英語教諭、斉藤俊雄先生(41)のかけ声で、
1、2年生17人の出演者達が、踊ったりはねたり、仕上げのけいこに懸命だ。
今回の演目は「降るような星空」。斉藤先生の作で、日本演劇教育連盟主催の晩成書房戯曲大賞を受けた作品の再演。受賞後、発表された脚本をもとに県外の中学校でも上演されているという。
突然、夜空から消えてしまった星を、病気の弟の願いで探しに行くストーリー。劇中劇のフィナーレという奇抜な演出で幕を開け、「『降るような星空』いかがでしたか」と観客を引き込む。占い師や夜の博士、魔女らも登場し、やみ夜や嵐をかいくぐって星明かりを見つけていく。
今回はエンターテイメントを全面に出した。マジックや新体操のようなダンスもでてきて難解だが、斉藤先生は「自然の中で息づく生命」がテーマと言う。
同演劇部は、斉藤先生が指導を始めた9年間で戯曲大賞の受賞のほか県教育長賞や彩の国青少年グローリー賞を受けた。イランの映画監督が訪問したこともある。「自然劇場」を理念に、自然観察も部員の課題だ。
「自然を見てこそ確かなイメージが持てる。台詞も生徒の発案でどんどん変わる。チャップリンのように、 言葉だけでなく体の動きで表現できることが理想」と斉藤先生。部長の金枝明里さん(14)は、
初めての舞台のフィナーレで大泣きしたことが「今演劇が楽しい」理由だ。
中学生の演劇は、発表の舞台が年に1、2回しかなく、同市が97年から始めた市民芸術祭には毎回出演している。 今年は大人のグループら16団体が参加し、久喜総合文化会館で開かれる。
本格舞台
久喜・太東中演劇部
自然と生命 尊さ訴え
中学生らしい輝きを舞台で。久喜市立太東中学校(松野彰彦校長)の演劇部(部員17人)が20日に行われる「第六回市民芸術祭」で、自然の大切さと命の尊さを訴えるオリジナル劇を上演する。これまで一貫して「自然の中で息づく生命」をテーマにした舞台を作り、国内外からの演出家から高い評価を得てきた。今回はダンスやマジックを織り交ぜエンターテイメントを前面に押し出した作品に仕上げ本番に望む。
タイトルは「降るような星空」。星が消えてしまった世界で病気の弟の願いをかなえるため星を探し歩く一人の少女を描いた 劇を創作した主人公の星川ひかり。この劇の上演を前に台風が襲い舞台が中止されそうになるという内容。劇中劇と現実を交互に物語は進む。
顧問の斉藤俊雄教諭(41)のオリジナルで晩成書房戯曲賞大賞を受賞した作品。約2時間の長編を1時間40分に書き下ろした。
本番を控え校内の一室での練習にも熱が入っている。生徒らに台本が渡されたのは期末試験後の12月初め。
一人一人が役作りから入り実際に演じながら台詞や動きを修正していく。
時折演出する斉藤俊雄教諭から声が飛ぶ。「今の場面は本当にその動きでいいのか。よく考えて
斉藤教諭は「台詞だけを重視するのでなく、すべてを含めた表現力を大事にしたい」と話す。小道具の使い方も同じ。脚立で飛行機を作ったり傘やビーチボールで星を表現したり。身近な道具を使って観客のイメージを喚起する野間が狙いだ。
「笑った後に涙を誘うチャップリン映画のような雰囲気を出せたら」。
感性を高めるため部員と一緒に自然観察会にも出かけている。
斉藤俊雄教諭が顧問になって八年。部員達の表現力の高さは市民からも好評で、上演日には多くの観客が詰めかけるようになった。99年には同校を訪問したイランの映画監督アボルファズル・ジャリリ氏から絶賛された。
部長の金枝明里さん(2年)は「自然に表現する方法が難しい」というが、 「1年生で初めて舞台に立ったとき、一つの物を作り上げたという感動で涙が出た」と演劇の魅力について話す。
最後には小道具を使ったダンスも披露する。現役部員の先輩達が作ったオリジナル。
斉藤教諭は「劇の中で中学生がいかに変化するか見てほしい」と話している。
朝日新聞少年少女スポーツ 2001.8.29(水)
2年ぶりの新作「八月の魔法」 久喜太東中学校
舞台に現れた七色の虹
物語は劇団「幻の森」が上演する『ヒルダの魔法』のラストシーンから始まる。こりは隣り合う二つの国の争いを止めた魔女ヒルダの物語だ。その物語の上演中、幾度となく赤い服を着た少女の幻影が現れる。少女は人助けのために事故に遭い、意識不明の重体に陥っている劇団員のみどりだった。
■[7月29日、久喜市]
第四回子ども芸術祭が久喜総合文化会館で開かれ、久喜市立太東中演劇部(作・演出 斉藤俊雄、演出 小島末子)が「八月の魔法」を上演した。2年ぶりの新作のテーマは生命。OBや保護者らとともに作り上げた舞台に、観客は大きな拍手をおくった。
人間の純粋さと愚かさが伝わってくる舞台
斉藤教諭が台本を書き終えたのは公演2週間前。そこから部員達と作りこみをし、完璧に仕上がったのが一週間前。稽古の時間は十分ではなかった。しかし感動があり笑いありの素晴らしい舞台に仕上がった。
唯ひとりの男子部員である桐ヶ谷孝則(2年)は、コメディー・リリーフとして欠かせない存在だ。独特の動きと間で会場を大いに沸かせた。「演じてみたい役は」と問うと「ずっとお笑いキャラでいきたい」と根っからのエンターテイナーぶりを見せた。
私たちはあの虹を忘れない
本公演を最後に引退する福田恵美部長は「稽古中はちゃんと上演できるか不安だった。今はこれで最後なんだとさみしい気持ちでいっぱい」。そして「私たち、七月の魔法を見たんですよ」と続けた。
稽古を終えて帰り支度をしていると、斉藤教諭が「虹だ」と叫んだ。見上げると雨上がりの空に虹がかかっていた。しかしすぐに消えてしまっため、見られなかった部員が数人いた。全員で見たかった。だから、みんなでもう一度虹を待った。
物語は眠りから覚めたみどりの「それは八月の魔法だった」という台詞で終わる。その瞬間、舞台には生命の象徴として七色の虹が現れる。誰かが「きれい」とつぶやいた。
記事(大塚ゆきゑ)
※コメディー‐リリーフ【comedy relief】
映画・演劇で、緊張した場面に滑稽な場面を挿入して過度な緊張感を和らげる手法。(広辞苑第五版より引用)
2001
朝日新聞少年少女スポーツ 2001.1.31(水)
中学生にしかできない演劇を
楽しくてせつない、少年達の「夏休み」
■久喜市立太東中学校演劇部[1月21日 久喜市]
第五回市民芸術祭が久喜総合文化会館で開催され、久喜市立太東中演劇部がオリジナル劇「夏休み」を上演した。
斉藤俊雄教諭が手掛けた脚本は、第十六回創作テレビ脚本賞で佳作一席を受賞している。
評価の高い作品に、観客の期待と注目が集まった。
「楽しい夏休み」と「戦争のおぞましさ」
物語は「戦争の足音が近づいてくる昭和11年、主人公の大場憲一は友達と森でかくれんぼをしていた。するといつの間にか5人だった友達が6人に増えている。…」というくだりで始まる。
十二歳の主人公らが演じる、通信簿を開くときのドキドキやこれから始まる夏休みへの期待感は、「あの楽しい夏休み」を思い出させる。
また同時に、愛する家族が空襲にあい、一瞬にして血みどろになるシーンは、戦争のおぞましさを訴える。
OGや保護者会の協力で成り立つ舞台
劇中にはアクロバットやダンス、影絵やちょうちんが効果的に使われた。現在部員は11名。全員が舞台に立つため、受験をひかえた3年生が黒子として協力した。
また、保護者会が衣装を担当するなど、舞台はまわりの人々のサポートによって完成した。
彼女たちだけが持つ人の心を動かす力
技術的なことを言えば、彼女たちよりうまい役者は大勢いる。
しかし、見るものの中に眠る「せつない感情」を呼び覚ます力を持った劇団は、他にはないのではないか。
それは、まだ未完成な彼女たちだけが持つ、生命力と感性によるものに他ならない。 そしてそれこそ、斉藤俊雄教諭が目指す「中学生の彼女たちにしかできない演劇」なのだろう。
主人公の友人、天野満夫役を演じた福田恵美部長は「次の公演も見に来るね、といわれるのが一番うれしい」といった。
インタビュー後にその言葉を返すと、彼女は十四歳の少女の顔で笑った (大塚ゆきゑ)
2時間半の力作「怪談の多い料理店」
皆で作り上げた最高のエンターテイメント
■久喜市立太東中学校演劇部 7月30日
久喜市久喜市立太東中学校演劇部が、久喜総合文化会館で開催された第3回子ども芸術祭において、2時間半のオリジナル劇「怪談の多い料理店」(脚本・演出=斉藤俊雄教諭)を上演した。
各界での評価が高く、マスコミに取り上げられることも多い同部。観客動員数は増加の一途をたどり、会場は、ほぼ満席となった。
斉藤版「美女と野獣」 第1部では8つの物語がオムニバス形式で演じられた。「かまいたち」「むじな」といった正当派怪談がある一方で「トイレの鼻毛さん」といったお笑い路線も交え会場は大きな拍手と笑いにつつまれた。 第2部は、第1部の8つの物語がからまり、斉藤版「美女と野獣」というエッセンスも加えられ最終的に一つの物語になるという凝った展開。しかも、ダンスあり、アクロバットあり、マジックありと盛りだくさんなエンターテイメント劇に仕上がっている。
幻想的な世界を演出する衣装は保護者会かが用意したものだ。シンプルな照明と舞台装置が、逆に五感を刺激する舞台を作り上げる。
公演直前に悔し涙
一ヶ月半におよぶ稽古は順調に進んだわけではなかった。本番5日前にプロの照明さんに見せたリハーサルは「力が入ってない」と不評。アクロバットも失敗ばかり。悔しさに涙がこぼれた。
そして迎えた公演当日。観客の笑い声と感動の涙が公演の成功を物語っていた。緞帳が下りる中、暖かな拍手に包まれた彼女たちの頬を、熱い涙が伝っていった。
演劇部の活動が生徒に与えたもの この公演を最後に、3年生は舞台化から降りる。長井ゆり副部長は「今回の劇は、拍手をもらえたり、笑ってもらえたり、観客との一体感があった。この劇が最後の劇でよかった」と笑顔で語った。
高校生になっても演劇を続けたいかと問うと、千葉絵理香部長は「これ以上のものを見つけるのは難しいと思うので、わからない」と斉藤演劇への思いを口にした。
脚本・演出を手掛けた斉藤教諭は「斉藤演劇の舞台は森。森は憩いの場。砂漠のような今の学校(世間一般の学校のことです太東中を意味するわけではありません-斉藤)を森に変えていきたい」と作品に込めた思いを語る。
上演後、観客から出演者に寄せられた花束の中に、OGからだと思われる花束があった。そこには「私の中で、まだ斉藤ワールドは生き続けています」というカードが添えられていた。
妖怪と人間との交流を描いて
現実社会の問題点浮き彫りに
久喜市立太東中演劇部、子ども芸術祭で熱演
久喜市立太東中学校演劇部(斉藤俊雄、小島末子顧問) が7月30日、久喜総合文化会館でおこなわれた「第3回子ども芸術祭」で2時間半の大作「怪談の多い料理店」を上演した。
同校演劇部はここ数年、晩成書房戯曲大賞、彩の国青少年グローリー賞のほか数々の賞を受賞しているだけに今回の作品にも期待が高まり、大ホールがほぼ満席となった。
第一話は8つの怪談がオムニバス形式で展開。①「かまいたち」②トイレの鼻毛さん③元祖・むじな④山姥の微笑み⑤木霊⑥コナキジジイとスナカケババア⑦天邪鬼⑧鏡の国のアリア —8つの話は妖怪のいる森と現実の学校の話が交互に構成され、第8話で一つの物語となって第2部に進展していった。
脚本・演出を手掛ける斉藤教諭の演劇は難解な面もあるが、弟2話のトイレの鼻毛さんのようにユーモラスな場面もふんだんにあり、会場の子供たちから大きな笑いが起こっていた。さらにダンス、アクロバット、マジックなどのエンターテイメントも至る所にちりばめられており、観客の興味を引き離すことはなかった。
弟1話の終わりは学校の演劇部の練習風景。その練習の休憩の合図と共に観客の休憩時間になる。この時点で観客も舞台と一体になった。
開幕ベルが鳴り、会場にもどると、舞台ではすでに演劇部の練習が始まっている。鏡に向かって練習に取り組む部員達。その内二人が鏡の中に消え去ってしまう。
鏡の向こう側にある妖怪のいる森とはいったい何なのか。心憎い演出が観客をさらに演劇の世界に引き込んでいく。
特に森に迷い込んだ静(人間)と天邪鬼(妖怪)の互いを思い合う物語には多くの観客が感動させられた。それは物語を演じきった太東中学校演劇部の部員一人一人のひたむきな演技が一つになった瞬間でもあった。
ラストで、学校のある場所はかつて森だったことがあかされる。そして料理店の支配人は観客に向かって言う。「あなたのまわりは妖怪でいっぱい。なんて素敵なことでしょう」と。観客は舞台上の演劇部の部員達と共にその意味を理解し、惜しみない拍手を送った。
見えないものを見る創造力の大切さ、それこそが他人を思いやる心につながる —そんなメッセージを観客のひとりとして私は受け止めた。
人と自然のつながり感じて久喜市立太東中学校の演劇部(部員15人)が、23日、同市下早見の市総合文化会館で開催される第4回市民芸術祭で、人と自然のかかわりを描くユニークなオリジナル劇「雪物語」を上演する。
同部はこれまで、「遙かなりわが地球」(1994年)「森の交響曲」(95年)など、自然と人間をテーマにした劇を上演して好評を得てきた。雪原が広がる前近代の世界を舞台にした「雪子」と、地球温暖化が進み、雪が失われた2050年という近未来を描く「除夜の鐘が鳴る前に」の二部からなる「雪物語」は、上演時間2時間半という大作だ。
【夫 彰子】 ビールケースの上にベニヤ板を渡した簡易舞台。校内の空き教室に設けられた練習所で、本番に向けて部員達の熱のこもった練習が続く。 場面は人間の価値観を倒錯させる「悪魔のガラス」を両目にはめ込まれた少年タカシが、「森を焼き尽くせ」と刺そう悪魔と「森の大切さを頃で感じて」と懇願する雪の精の間で揺れ動く、第2部のクライマックスだ。
苦悩するタカシを巧みに演じる黒田彩子さん(2年)は「人間の心の時は澄んだ声で笑顔に、悪魔の心の時は低い声で無表情に演じています」と話す。
劇は、舞台で進行する物語が、実は女性作家、如月深雪の小説世界だったという仕掛けが施されている。第1部で雪が降り積もる世界で生きる少女雪子を描き、第2部ではタカシの苦悩に作家としての自らの悩みを投影してゆくという独創的なストーリーへ展開になっている。
大役は初めてという伊藤 恵さん(同)は「売れるための物語を書き続け、自分の好きなテーマで小説を書けなかった如月の悩みに共感できました」と、役への思い入れを語る。
原作を手がけた顧問の斉藤俊雄教諭は「劇を通じて身近な自然を思い浮かべ、人間と自然のつながりの深さを感じてほしい」と語る。舞台は極力細工を省き、布と照明の加減で森を作り出すなど、シンプルながら計算し尽くされた演出も魅力の一つだ。
二時間半の大作「雪物語」
ピュアでストレートな演技に感動の涙
久喜太東中演劇部 [1月23日 久喜市]
久喜市立太東中学校演劇部(部員15名)が久喜総合文化会館で行われた第四回市民芸術祭で、二時間半の大作「雪物語」を上演した。
過去の上演作品は、晩成書房戯曲大賞、彩の国青少年グローリー賞のほか数々の賞を受賞、高い評価を得ている。今作品にも期待が高まり、会場はほぼ満員となった。
第一部は両親を殺された少女「雪子」の物語。第二部は地球温暖化が進んだ2050年を描く「除夜の鐘が鳴る前に」だ。物語は作家、如月深雪が描く小説の世界だったという仕掛けがほどこされている。
中学生にしかできない演劇
脚本、演出を手がけた斉藤教諭は「彼女たちにしか作れない演劇。 これが一つのジャンルとして確立することを狙っています。例えば彼女たちがはにかみながら語る希望には真実味がある。 大人が語るノスタルジックな希望ではなく、夢がある世代だけが持つピュアさがある」と語る。
森が稽古場
稽古には自然観察を取り入れているという。「斉藤演劇の舞台は森。実際に森に出かけることで台詞がうまくなる。
美しいものをたくさん感じると、感情をつかさどる右脳が刺激され表現が豊かになるのです。第一、部屋の中に閉じこもって練習しているより楽しい」。
みんなでつくりあげた舞台
部長の千葉絵理香さんは「良かったといわれるのが一番うれしい。まずはみんなと今日の劇について話がしたい」と語った。
黒子には受験を控えた3年生が協力。舞台を陰から支えた。幻想的な照明に映える衣装は保護者会が用意したものだ。雪んこ、
悪魔、妖精、九の一と様々な衣装が舞台をさらに盛り上げる。
上演後、楽屋裏ではOGが生徒達を待っていた。「良かったよ」「ちょっと泣いちゃった」と声をかける姿に、
太東中演劇部の活動が生徒達に与えたものの大きさを感じさせられた。
◆この人と〜斉藤俊雄について・読売新聞◆
読売新聞「この人と」1999.7.4
「命」問い掛ける舞台を「生命」をテーマに劇作りに取り組む
久喜市立太東中教諭斉藤俊雄さん (38) 太東中に赴任した六年前から、顧問を務める演劇部の、教え子たちと舞台を作ってきた。これまで手がけた演劇は十七作。自らの手による脚本が晩成書房戯曲賞大賞を受賞するなど、その作品は高い評価を得てきた。
作品の多くが上演時間二時間を超える大作。「せりふは膨大だが、生徒は一週間ほどで覚え、真剣に演じてくれる。だからこそ、一人一人の役を深く描き込みたくなるし、自然に長くなるんです」と苦笑する。
今年一月にも「久喜市民芸術祭」で、二時間四〇分の「化鳥伝説(けちょうでんせつ)」を披露した。
県内外からの観客で立ち見まででたホールは喝采につつまれた。
「子供の芝居といって、子供だましの舞台はしたくない」という思いもある。
「感性のレベルに大人も子供もない。僕の脚本がつまらないと部員達の表情でわかる。刺激になりますよ」
演劇との出会いは英語教師になってすぐの十六年前。赴任先の中学校でたまたま演劇部顧問になったのがきっかけだった。
追いかけてきたテーマは一貫して「生命」。
そのためには、部員と一緒に自然観察に出かけ、小鳥の鳴き声やみどりの輝きに触れて、感性や想像力を高める努力も怠らない。
現在は、三年生の締めくくりとなる来月一日の「子ども芸術祭」に向けて練習中だ。
タイトルは「森の交響曲(シンフォニー)」。五部構成の大作だ。
「答えはこれ、と指し示すのではなく、観客自ら答えを見つけだす劇にしたい。『生命ってなんだろう』という問いかけが見たひとの心の中で続いていくような舞台にしたいですね」
イランの映画監督ジャリリさん久喜の太東中訪問
演劇部の舞台絶賛「心が動かされた」
出演依頼の可能性も
ベネチア国際映画祭で九十五年に「金のオゼッラ賞」を受賞したイランの映画監督、
アボルファズル・ジャリリさん(四〇)が二十三日、久喜市立太東中を訪れ、演劇部の練習を見学した。
今回の訪問は、通訳のショーレ・ゴルパリアンさんが昨年、同校演劇部の舞台を見て心を打たれ、ジャリリさんに紹介したのがきっかけ。
ジャリリさんは、見学後「とても力強く、心が動かされた。私の映画に出演してもらう可能性も十分ある」と絶賛していた。
ジャリリさんは、イランが直面する社会問題を浮き彫りにした映画作りに取り組んでおり、ベネチア国際映画祭のほか、ロカルノ国際映画祭でも「銀豹賞」を受賞するなど世界的に注目されている。代表作は「七本のキャンドル」「ダンス・オブ・ダスト」などで、日本で撮影する映画の企画のため、来日中だった。
この日、演劇部のメンバーたちは、来月七日に訪れるオーストラリアからの小、中学生のために練習している日本風のジャズダンスを披露した。
ジャリリさんは8ミリビデオで練習風景を撮影しながら興味深く見学。「子どもを描く映画を撮っているため世界中の学校を回っているが、
十人のうち、一人は映画に出てもらいたいと思える生徒かがいる。だが、ここの生徒は十人のうち十人が使えると思った」と感想を述べた。
顧問の斉藤俊雄教諭は「芸術家として尊敬する監督に評価してもらってうれしい。自分にも生徒にも励みになった」と話している。
同中演劇部は、斉藤教諭が赴任した一九九三年から「生命」をテーマにした2時間を超える劇作りに意欲的に取り組んでおり、斉藤教諭が手がけた脚本は、これまで創作テレビ脚本賞佳作一席を受賞するなど高い評価を得ている。
アボルファズル・ジャリリ監督紹介
1957年イラン中央のサヴェーに生まれる。1983年、初の長編映画「Milad」を発表。1987年の第三作「かさぶた」で映画作家として内外で注目を集める。
「ドキュ・ドラマ」と称されるスタイルによって彼が呈示する社会的テーマは新作を発表するごとに論争を巻き起こし、本国イランではすべての作品が上映禁止になっている。
しかし、95年にヴェネチア国際映画祭で『7本のキャンドル』が「金のオゼッラ賞」を受賞、98年に入り、きわめて実験的な作品と評されている『ダンス・オブ・ダスト』がロカルノ国際映画祭で『金豹賞』を、サン・セバスチャン国際映画祭でも最新作『Don』が「審査員特別賞」を受賞するなど、近年国際的評価は高まりつつある。
まさに今世界が注目する映画作家の一人である。
(「7本のキャンドル」パンフレットから引用させていただきました)
二時間半の大作劇「化鳥伝説」
24日、久喜「第3回市民芸術祭」で上演
明るく自然の在り方命の尊さ訴え
太東中演劇部
観客の感性くすぐりたい
自然の在り方や命の尊さを演劇を通して訴えていこうと、久喜市吉羽の太東中演劇部が、約2時間半に及ぶ大作劇に取り組んでいる。
今月24日久喜総合文化会館で行われる「第3回市民芸術祭」に出演することが決まっており、現在仕上げの練習に熱が入っている。
同部は5年前から2時間を超える演劇に挑戦しており、上演のたびに市民の関心は高まっている。
劇のタイトルは「化鳥(けちょう)伝説」。故郷の森の保護を劇を通して訴えようとする女性が演劇を企画し、友人の演出家と協力し劇を仕上げていくというストーリー。 森を守ろうとする「カエデ」と、独り占めしようとする「瑠璃姫(るりひめ)」の二人が、樹齢三百年を超えるブナの大木が茂る森の中で、美しい「銀の鷹」を巡って争い合うという劇を企画したが、本番ではトラブル続きで、アドリブで劇間を仕上げていくという内容。
全般的に明るい劇だが、一方で、自然環境の在り方や命の尊さを訴えている。 同部員は現在二十人。顧問の斉藤俊雄教諭が、赴任した七年前からすべて脚本を書いている。
二時間を超える演劇は今回が十一作目で、過去の市民芸術祭で上演した演劇の脚本が晩成書房戯曲賞大賞を受賞するなど、県内外から注目を集めている。
昨年八月に久喜総合文化会館で行われた「子ども芸術祭」の上演では、千二百席が満員で立ち見がでるほどの人気ぶりだった。
今回の「化鳥伝説」は、九四年に同部の自主公演で上演した劇を一部書き直したもの。斉藤教諭は、「台本は大人の観客を想定して書き、部員にも大人としての要求をしています。観客の感性をくすぐるような劇に仕上げたい」と話している。
久喜市立太東中学校演劇部が「化鳥伝説」
派手で華麗な演技
客席と舞台が一体に
「中学生の時だからこそ表現できる演技力を十二分に発揮させたい」と、意気込むのは埼玉県久喜市立太東中学校演劇部顧問の斉藤俊雄教諭。
去る1月24日。久喜総合文化会館大ホールで行われた久喜市民芸術祭で太東中演劇部の「化鳥(けちょう)伝説」を観劇した。
この作品は,斉藤教諭の原作・脚本・演出によるもので、生命や自然、愛を高らかに歌い上げた2時間45分もの劇。
中学生でこれだけの長丁場を演じきるのは全国でも数少ない。しかも、作品の軽快なテンポと手に汗握る躍動感に心が躍った。ユーモラスなセリフ回しに笑い、涙まで誘われ、若者達のみずみずしいしなやかな心と、歯切れのいい声に、心がときほぐされる思いがした。
舞台装置をほとんど使わず、シンプルな幕を効果的に駆使し、奥行きと幅を出している。何気なくて、しかもこっている。歌舞伎の手法をふんだんに取り入れ、観客も演技者として使う客席と舞台との一体感には思わず、うなった。
20人の役者は、その何倍もの存在感があり、派手で華麗で中学生だということを忘れそうなほどに完成された演技力を見せてくれた。それは演技ではなく、彼らの日々の活動そのものを物語っているのかもしれない。厳しさの中で彼らは私達が見落としている大切なものを、しっかりつかんでいるのだろう。
ナイフや銃などの社会問題
中学生が劇で訴え
久喜・太東中演劇部
2時間の大作、10本目
来月2日 子ども芸術祭で披露
久喜市吉羽の太東中演劇部が、ナイフや銃などの社会問題を題材とした約二時間におよぶ劇作りを進めている。
中学生としては異例の長さの舞台だが、同中がこうした大作に取り組むのは十作目。毎年公演を楽しみにしているファンも多いという。
来月二日に久喜総合文化会館で開かれる「第一回子ども芸術祭」で練習の成果を披露する。題名は「生命(いのち)の交響曲(シンフォニー)」。
二人の兄弟が主人公で、兄は、自分をかばってナイフで刺された弟を助けようと、 弟が夢の中で見ている森の世界に入り、ナイフや銃を使って赤鬼などを殺していくが、最後には武器を使わず、
歌で命を救う方法を知るというストーリー。
同部顧問の斉藤俊雄教諭が二年がかりで構想を練り、今月上旬に台本ができあがった。
同部は現在二十八人。斉藤教諭が赴任した六年前から徐々に大作に取り組むようになったという。
その活動が口コミで広がり、毎年観客が増え続け、千人以上が訪れるほどの人気だった。
服部部長は「大勢の観客の前で演じる緊張感が楽しみ。中学生としてではなく、大人の演劇として見てほしい」と話している。 物語の舞台が森のため、部員は学校付近の自然に触れるなどして、劇のイメージを高めてきたという。
「生徒には劇を通して自然に対する感受性も学んでほしい」という斉藤教諭は、
「社会状況があまりにもひどいので、今回の劇は『生命の大切さ』というメッセージ性の強いものに仕上げた。
なるべく多くの人に見てもらい何かを感じてほしい」と呼びかけている。
「ナイフや銃は 争いの解決につながらない」
少年非行テーマ あす公演
久喜市立太東中学校演劇部
2時間の大作観客と考える
ナイフを使った少年犯罪が増える中、生命の大切さをテーマにした劇づくりに取り組んできた久喜市立太東中演劇部が二日、同市下早見の久喜総合文化会館で開かれる「第一回子ども芸術祭」で練習の成果を披露する。
タイトルは「生命(いのち)の交響曲(シンフォニー)」。中学生の演劇部では珍しい約二時間に及ぶ大作だ。
生徒たちは「ナイフや銃などは争いの解決につながらないことを伝えたい」と張り切っている。
賢太郎と幹雄の兄弟が主人公だ。ナイフや銃で悪党に立ち向かうテレビドラマのヒーローを演じる俳優・賢太郎は現実世界でも武器で問題を解決しようとする。幹雄はそんな兄に反発するが、兄のけんかを止めようとして、逆にナイフで刺されてしまう。幹雄を助けようとひん死の弟が夢の中で見ている「森」の世界に飛び込んだ賢太郎は、そこでも、赤鬼や青鬼といった森の精を次々と殺すが、やがてその愚かさに気づくというストーリー。
「森」は学校を念頭に書いている。「今の子どもは、人の死を軽く見ているように思えてならない。死の重さ、命の尊さを訴えたかった」と、台本を書いた顧問の斉藤俊雄教諭。二年前から構想を温めていたが、一月、栃木県で生徒がナイフで女性教師を刺殺した事件に衝撃を受け、一気に書き上げたという。
世界的なチェロ奏者だったパブロ・カザルス(1876-1973)の曲「鳥の歌」をもとに書いたという。「カザルスは武器ではなく、音楽でファシスト政権と闘った。カザルスの思想が、問題解決の糸口になるのではないか」と話す。
太東中演劇部は現在、二十八人。斉藤教諭が赴任した六年前から、二時間ものの大作を手がけるようになった。受賞歴が多く、最近は一回の公演に千人を超える観客が訪れるようになったという。
七月中旬から、本番に向けた練習を本格化。「森」の世界を表現するために、栃木県日光市で自然観察も行った。
部長で三年の服部さんは「メッセージを観客に投げかけるだけでなく、自分たちがこの問題と向き合わなければならない。一つひとつの演技が難しい劇ですが、ぜひ、大勢の人にみてほしい」と呼びかけている。
晩成書房戯曲賞大賞受賞での選評
人間の夢の喪失と自然破壊を取りあげた傑作である。
主人公がこの世からなくなった星がどこにいったかを探す創作劇を書き、出演者を勧誘して上演するまでを、劇中劇を織り交ぜながら描く。途中10分間の休憩まで用意する2時間ものの大長編である。
台詞のやりとりが自然で、ギャグもソフトでユーモラス。長さを感じさせない緻密な構成が抜群で、劇中劇と現実の演劇部の生活とのからみが楽しく、
また適度の感傷も込めて、やんわりと訴える大作。
ふじたあさや氏による劇評
今回の脚本募集の入選作は、ぼくの予想を上回っておもしろかったですね。特賞の斉藤俊雄さんの「降るような星空」は、 子供達の目から観たら抜群のおもしろさを発揮すると思います。ねらっているテーマを含めていい。話の運びは特におもしろかった。
ショーレ・ゴルパリアンさんからのメッセージ
「太東中学校演劇部の公演を観に来てほしい」と誘われたとき、私は本当のところはただの「学生芝居」と思いました。しかし、熱心な誘いに負けて観に行くことにしました。
劇場に着いて、まずたくさんの観客に驚きました。最近の若者はハリウッド映画にしか興味を持っていないと思っていましたが、芝居を観に来ていた観客の中には若い人が多く、とても嬉しくなりました。
芝居が始まり、役者の力に夢中になって、流れも速くとても面白いと感じました。つまらない学生芝居と思って来た私でしたが、次第にプロの芝居を見ている気持ちが強くなってきました。
特にこの芝居には、観客が舞台の下、演技をしている役者が舞台の上というわけではなく、観客を芝居の中に引きつけるところが、監督の腕の見せ所であり、素晴らしいと感じました。
役者や舞台の照明、また音響の係の人がみんな一人一人自分の役割をしっかり行っていたところを見て、本当に皆芝居を愛して、心でやっているんだなと感じました。 次の芝居が楽しみですね。
ショーレ・ゴルパリアンさんの紹介
イラン大使館秘書をしたのち、ペルシャ語通訳として、NHKの仕事他を手がけている。93年、97年には、来日したアッバス・キアロスタミ監督の通訳を務めた。アッバス・キアロスタミ監督はイランの監督で、97年に世界最高といわれるカンヌ国際映画祭において「桜桃の味」でパルムドール(最優秀作品賞にあたる)を受賞した(これは日本の今村昌平監督の「うなぎ」との同時受賞となった)。ゴルパリアンさんは、この作品でも字幕監修を務めている。
「夢源氏剣祭文」にあるように鬼が横行する平安時代、人は闇をおそれ異形のものにおののいた。
久喜市立太東中学校演劇部顧問・斉藤俊雄教諭の書いたオリジナル脚本「赤と青のレクイエム」はまさしくその時代を背景としたものである。 彩の国グローリー賞や創作テレビ脚本賞など数々の賞に輝き、着実に力を付けてきた舞台がそこにあった。
部員三十人の父母が自ら、ススキの原っぱを表現するために、当日の早朝、トラック一台分のアシを刈り込むなど総力をあげて、8月3日、久喜総合文化会館で舞台の幕は上がった。
青い血をもつ山姥と赤い血を持つ人間が共存して生きていく世の中、人種差別をテーマとした劇だが、アクロバットあり笑いありと飽きさせない。
1時間45分のプロにも匹敵する上演はセリフも長く難しい。セリフを巧みに操り、こなした部員達の暑い中での猛練習と斉藤教諭の熱意は十二分に評価されるのではないだろうか。
この年代の少女達が持ち得る透明感、純粋さといったものがきらめく舞台に固唾をのんで意識を集中させた観客達は、感動に酔いしれた。中学生レベルを超えた太東中の次回公演は10月、期待が高まる。
同演劇部の最新作は「雪物語」「怪談の多い料理店」「夏休み」などで、すべて斉藤教諭の創作。自然をうたった劇が多いために、月に一回「自然劇場」と称する観察会に出かけ、部員達が自然に触れることを大切にしているそうだ。そういったリズムやハーモニーが「赤と青のレクイエム」にも反映されていたように思えた。
オリジナル脚本で差別テーマに演劇
久喜太東中演劇部
8月3日に定期公演
久喜市立太東中学校演劇部の定期公演「赤と青のレクイエム」が8月3日、久喜総合文化会館大ホールで上演される。
オリジナル脚本で1時間45分の本格的な演劇。毎回好評で今年一月の前回公演には県外も含め千人以上が訪れ、昨年の公演では二百人が会場には入れなかった。八月公演に向け部員達は連日猛練習に取り組んでいる。
練習が始まると笑顔だった同部顧問の斉藤俊雄教諭の表情が一変した。「タイミングが遅い」「バック転の練習してないのか」「発声がなっていない」と厳しい声が練習場に響く、部員達の表情も真剣。本番さながらの緊張感が走る。
公演の面白さは毎回斉藤教諭が執筆する脚本にある。今回は青い血が流れる「山姥」と赤い血が流れる「人間」とを対峙させ、「山姥」を象徴に現代の差別問題をテーマにしている。しかし、堅苦しい演出でなく「ダンスあり、アクロバットありでエンターテイメント性をふんだんに盛り込んだ」と斉藤教諭。「最後に大どんでん返しがあるのでストーリーも楽しみに」と話す。
部員は女生徒ばかり三十人。斉藤教諭は「全員の特性を引き出せるように考えながら劇を作る」という。
部長の折原さん(三年)は「暑さで大変なときもあるけど練習は楽しい。公演が終わって観客から拍手を浴びたときが一番うれしい」と話す。
定期公演は七回目。これまでにも「晩成書房戯曲賞」「創作テレビ脚本賞(NHK)佳作一席」などを受賞している。
第五回公演を観劇したある同人誌作家は「総合芸術としての完成度が高く、受けた感銘は近年にないもの、鑑賞しながら何回も涙がこぼれた」
と感想を寄せている。
ミゾコウジュ自生確認
久喜市立太東中生徒
理科の授業で発見
絶滅の危機にさらされている野草「ミゾコウジュ」が自生しているのを、久喜市立太東中学校(久喜市吉羽)の生徒が、同行近くの杉戸町内の沼の周辺で見つけた。
他の野草に混ざって、背丈五十センチほどの十数株が淡い紫色の小さな花をひっそりと咲かせていた。
理科の授業で魚などの採集にいった同中二年の津川理恵さんと森藤麻衣子さんが、みたことのない野草を見つけ、植物に詳しい斉藤俊雄教諭に報告、ミゾコウジュとわかった。
ミゾコウジュは本州以南の湿地に分布するシソ科の越年総。
開発や埋め立てなどで生育地が減って希少となり、日本自然保護協会など発行の「レッドデータブック」では、確実に絶滅に向かっている「危急種」に指定されている。
自生していた地域でも、周辺の開発が進んでいる。 津川理恵さんと森藤麻衣子さんは「せっかくの自生地が破壊されなければいいのに…」と口をそろえている。
創作テレビドラマ脚本公募選考委員の言葉
(月刊ドラマ11月号から)
「夏休み」は、今から五十数年前に舞台を設定し、やがて来る戦争や一人一人の悲惨な運命も知らず、小学生最後の夏休みの思い出をつくるために森に集まった子供達の幻想的な物語。
その発想は面白く不思議な魅力を湛えた作品で、内容的にいくつかの欠点はあるが、作者の才能にある種の可能性を感じるという評が多かった。
菅野高至 NHKドラマ番組プロダクションチーフプロデューサー
(月刊ドラマ) 作者に、自分なりの作品世界があるはずとの理由で佳作第一席になりました。
脚本としては未完成なのですが、子供達と妖怪が出会える楽しさを、その豊かさを、是非とも伝えたい、自分の世界を信じているからこそ伝えられるはずだ! との作者の「想い」が力となりました。
映像化を前提に応募作を読んでいて、入選と佳作第一席はいずれも刺激的な作品でした。
さいたま芸術文化祭ジャズダンスフェス
新鮮さで知事賞に 蓮田市黒浜中演劇部
ノーメークの熱演
「昨年の入賞から今年はトップ賞に…。非常にうれしい」
飯能市民会館でこのほど催された第三回さいたま芸術文化祭のジャズダンスフェスティバルで、蓮田市立黒浜中学校演劇部が見事、県知事賞に輝いた。
演劇活動に八年前から取り入れたジャズダンスの成果が結実「独創的で、まるでサーカスをみているみたい」と晴れ舞台での中学生らしい熱演を高く評価していた。
同演劇部の同芸術文化祭参加は今回で二回目。北川辺町で開かれた昨年は、初出場で同町教育長賞の入賞を果たし
、今年は入賞六部門でも晴れてのトップ賞の頂点に立つ大健闘。
一、二年生の部員十三人が同部顧問の斉藤俊雄教諭やOB部員らの協力で「振り付け」を決め、夏休みから続けてきた猛練習が実った。
ビデオ審査の第一次予選を勝ち抜いたのは同中演劇部チームを含め二十チーム。
一般対象と合って、高校、中学生らのチームは同中だけで、公民館、ダンスクラブの一般チーム。
次いで、この中から上位チームが選ばれ決勝大会に挑んだ。選曲は「ラグ・タイム・ダンス」。ジーンズやカラフルなシャツなどを次々と演じながら衣装を着替える、「アクロバティック」な激しいダンス。傘を、ビーチボールを、モップを中に投げながら手に取り、踊る新手法で新体操のよう。
斉藤教諭ら三人は、「若々しいエネルギッシュさを強調し、ノーメークで笑顔を見せながら踊った中学生らしさが、他の大人のイメージの中でひときわ目立ったのでしょう」と振り返り、同中演劇部員の新鮮でさわやかなアピールがトップ賞を招き寄せた。
観客から「サーカスみたいなダンスだ」と絶賛された熱演ぶりに、同中から駆けつけた生徒らは感動のあまり涙を流す光景も見られた。
演劇練習の中にダンスを取り入れ効果も上がっているとはいえ、今回の独創的な振り付けが一致してそろったのは本番の前日。
「難しい演技だったが、見事やり抜いた生徒達のがんばりはすごい」と斉藤教諭は目を細めていた。
同中演劇部の第四回一般公演会が岩槻市の城址公園イグレッタ・ホールで開かれるが、今回県知事賞に輝いたダンス演技も披露される予定。
LOVE
埼玉新聞1990年