次のような思いを共有できる方々に上演していただきたいと思っています。
★中学生が上演することで輝ける劇(中学生が演じるからこそ笑え、中学生が演じるからこそ泣ける劇)が存在することを信じられる人
★中学生のだれもが、計り知れない可能性を持っていると(とりあえず人前ではそう言っているのではなく)
本気で思っている人(思いたい人)。そして中学生は、中学生にしては素晴らしい劇などではなく、プロの劇団にも負けない大きな感動を生み出す劇を上演することができると本気で思える人
◆当脚本の上演に際しては斉藤俊雄まで必ずご連絡ください(連絡はメールでお願いします)。
①上演団体名
②同 所在地
③同 電話番号
④同 責任者氏名・立場…演劇部顧問・学級担任・生徒・保護者・劇団関係者等
⑤上演脚本題名
⑥上演目的・形態(○○大会、演劇部校内発表、文化祭学校劇・学年劇[○学年]・学級劇 等)
⑦上演期日
⑧上演回数
⑨会場名
⑩その他 脚色・潤色等の有無(題名を変える、ラストを別のドラマに変える等の大幅な改変がない限りすべて許可しています。制限時間内に上演するためのカットも行ってけっこうです。) 入場料の有無(入場料を取る場合は具体的な金額を記入してください)
以上を記入してメールを送ってくださいください ★連絡先 oo-ruri@nifty.com。
上演許可をメールで送ります(大会の規約等で私の署名・捺印等が必要な場合は、返信用の封筒を同封して上演申請書と上演許可書を送ってください)。
中学生が教育目的で上演する場合、著作権使用料は免除されますが、著作権尊重の観点から、上記の内容を必ず提出していください中学生以外でも、無料の公演に関しては脚本使用料はいただいておりません。
※多くの学校から私たちの上演を記録した映像を見せてほしいという要望が届いていますが、肖像権等の理由からすべてお断りしております。ご了承ください。尚、久喜市立久喜中学校演劇部が演じた「ふるさと」を記録した映像は、株式会社ジャパンライム社から発売されているDVDで見ることができます。
・自作上演の学校・団体 …斉藤俊雄作品を上演した学校・団体の記録です(上演予定も含みます)
このページの目次
1・自作脚本の簡単な紹介
2・斉藤俊雄脚本集1「夏休み」、斉藤俊雄脚本集2「七つ森」、斉藤俊雄脚本集3「ふるさと」の紹介
3・斉藤俊雄オリジナル脚本の紹介
「イマジン」(2019年)…「中学校創作脚本集2019」収録 関東大会・銀賞
「つばさ」(2018年)…「中学校創作脚本集2018」収録 関東大会・銀賞
「なつの思い出」(2017年)…「最新中学校創作脚本集2018」収録 関東大会・銀賞
「私の青空」【「青空」戦後70年バージョン】(2016年)…「斉藤俊雄脚本集3 ふるさと」収録
「ずっとそばにいるよ」(2016年)…「斉藤俊雄脚本集3 ふるさと」収録 関東大会・銀賞・創作脚本賞
「Happy Birthday」(2015年)…「斉藤俊雄脚本集3 ふるさと」収録 関東大会・銀賞
「最新中学校創作脚本集2016」収録
「アトム」(2014年) …「斉藤俊雄脚本集3 ふるさと」収録 「最新中学校創作脚本集2015」収録
関東大会金賞・創作脚本賞 沖縄全国大会出場
「ふるさと」(2012年)…「斉藤俊雄脚本集3 ふるさと」関東大会金賞・創作脚本賞 栃木全国大会出場
「とも」(2011年)…「斉藤俊雄脚本集2 七つ森」収録 関東大会・会長賞
「七つ森」(2010年)…「斉藤俊雄脚本集2 七つ森」収録 関東大会・金賞
「魔術」(2010年)…「斉藤俊雄脚本集2 七つ森」収録 第1回埼玉県子ども人権フォーラム上演作品
「ザネリ」(2009年)…「斉藤俊雄脚本集2 七つ森」収録 関東大会・優秀賞
「春一番」(2008年)…「斉藤俊雄脚本集 夏休み」収録 関東大会・最優秀賞
「青空」(2006年)…「斉藤俊雄脚本集 夏休み」収録 関東大会・最優秀賞
「なっちゃんの夏」(2005年)…「斉藤俊雄脚本集 夏休み」収録 関東大会・優秀賞
「ときめきよろめきフォトグラフ」(2004年)…「斉藤俊雄脚本集 夏休み」収録 関東大会・最優秀賞
「赤と青のレクイエム」(1997年)…「斉藤俊雄脚本集3 ふるさと」収録
「怪談の多い料理店」(1996年)…「斉藤俊雄脚本集2 七つ森」収録
「森の交響曲(シンフォニー)」(1995年)「斉藤俊雄脚本集2 七つ森」収録
「降るような星空」(1985年)…「斉藤俊雄脚本集 夏休み」収録、晩成書房戯曲賞
「夏休み」(1984年)…「斉藤俊雄脚本集 夏休み」収録、第16回創作テレビドラマ脚本公募(NHK後援) 佳作一席
2016年6月発売
収録作品は次の7作品です。題名をクリックするとあらすじを読むことができます。また脚本を途中まで読むことができます。
「ふるさと」
「アトム」
「Happy Birthday」
「赤と青のレクイエム」
「夏休み」(戦後70年改訂バージョン)【戦争三部作】
「私の青空」(『青空』戦後70年バージョン)【戦争三部作】
「ずっとそばにいるよ」【戦争三部作】
※戦争三部作はそれぞれが繋がりを持っている作品です。
「夏休み」は昭和11年からこれから起こる戦争を小学6年生の視線で描いた作品です。「私の青空」と「ずっとそばにいるよ」は現代の中学生の視線で戦争を描いた作品です。三作品に共通する登場人物が存在します。
★「ふるさと」はどのような思いから生まれたのか
過去に自作を上演してくれた学校の一つが、津波の被害にあったことを知りました。その日から考え始めました。「自分に何かできることはないいだろうか。自分だからこそできることはないだろうか」と。そして、辿り着いたのが「ふるさと」です。
上演した人たちが元気になれる劇が創りたいと思いました。観た人が元気になれる劇、そして、そのことによって上演した人が元気になれる劇です。
「ふるさと」は古川里美(=ふるさと)が転校してきたことで、故郷に特別な思いを持っていなかった子ども達全員が故郷を好きになる話です。内容に震災をイメージさせる部分はあえて入れませんでした。ただただ「あったかい劇になればいい」という思いを胸に創りました。
「ふるさと」は演劇部でも学級劇でも学校劇でも上演できる、小学生でも中学生でも地域の子どもたちの集まりでも上演できる、教室でも体育館でもホールでも、更に校庭でも上演できる劇です。
「ふるさと」がどのようにして生まれどのような道を歩いてきたのか興味がある方は、後書きをお読みください。
★ 後書き 「ふるさと」の後書きという名の劇
★「演劇と教育」2016年10月号 本 新刊-旧刊 斉藤俊雄作品集3「ふるさと」 書評
★「演劇と教育」2016年11月号 実践記録 「ふるさと」とともに歩く 斉藤俊雄
◆購入を希望する方は、晩成書房、 楽天、 7net 、一般の書店への注文で購入できます。
2011年11月発売
収録作品は次の6作品です。題名をクリックするとあらすじを読むことができます。また脚本を途中まで読むことができます。
『七つ森』
『とも』
『ザネリ』
『怪談の多い料理店』
『魔術』
『森の交響曲(シンフォニー)』
「七つ森」の6作品がどのようにして生まれたかに興味がある方は後書きをお読みください。この作品集がどのような思いから創られたのか、架空のインタビュー形式で紹介しています。
◆後書き
「七つ森 いきものがたり」
◆購入を希望する方は晩成書房、楽天、7net 、一般の書店への注文で購入できます。
2009年3月発売
初版1000冊が完売となり、2012年秋から品切れとなっていましたが、2016年10月、重版開始となりました。品切れの間はネットで作品の提供を行ってきましたが、重版開始となりましたので、今後は晩成書房から購入していただければと思います。
◆下の題名をクリックすると、「斉藤俊雄作品集 夏休み」収録作品のあらすじと脚本を途中まで読むことができます。
「夏休み」
「青空」
「なっちゃんの夏」
「ときめきよろめきフォトグラフ」
「降るような星空」
「春一番」
・「斉藤俊雄作品集 夏休み」に掲載された作者プロフィール
・「斉藤俊雄作品集 夏休み」後書き 春一番が吹いた日に〜後書きのためのインタビュー〜
この作品集がどのような思いから創られたのか、架空のインタビュー形式で紹介しています。これを読むことで、サブタイトルにある「シリーズ・七つ森の子どもたち」の意味を理解していただけると思います。
◆購入を希望する方は晩成書房、 楽天、 7net 、一般の書店への注文で購入できます。
キャスト メイン14名 その他 人数に制限はありません。どんなに多くとも上演可能です。
上演時間 45分〜60分
自作を上演してくれた学校の一つが、津波の被害にあったことを知りました。その日から考え始めました。「自分に何かできることはないいだろうか。自分だからこそできることはないだろうか」と。そして、辿り着いたのが「ふるさと」です。
元気になれる劇が創りたいと思いました。観た人が元気になれる劇、そして、そのことによって上演した人が元気になれる劇です。
「ふるさと」は古川里美(=ふるさと)が転校してきたことで、故郷に特別な思いを持っていなかった子ども達全員が故郷を好きになる話です。内容に震災をイメージさせる部分はあえて入れませんでした。ただただ「あったかい劇になればいい」という思いを胸に創りました。
「ふるさと」は机とイスがあればどこでも上演できる劇です。教室でも体育館でも、校庭でも上演することが可能です。音響設備は必要ありません。場面転換では子どもたちが生で歌う「ふるさと」がバックミュージックとなります。 この劇は様々な上演形態で発表することができます。演劇部はもちろん、学級劇、学年・学校劇としても上演できます。
★「ふるさと」上演の手引き
◆ 第12回全国中学校文化祭(全国大会)栃木大会参加作品
◆2012関東中学校演劇コンクール金賞・創作脚本賞
◆『ふるさと』は現在、日本各地の小・中・高校のクラス、演劇部、劇団で上演されています。
脚本「ふるさと」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「ふるさと」
キャスト メイン9人 その他 4人〜10人程度まで可
上演時間 50分〜60分(プロローグの部分をカットすることで45分にすることができます)
「アトム」はテレビアニメ版で(当時はテレビ漫画と呼んでいた)アトムの放送が始まった1963年(昭和38年)の物語です。同時にテレビアニメ版でアトムが誕生する年として設定された2013年の物語でもあります(原作の漫画での誕生は2003年)。 それはある意味において未来の物語であり、過去の物語でもあり、今の物語でもあります。 ただしそれは2013年という意味での今ではありません、2013年は「アトム」が上演される時には過去になるのですから。
「アトム」は50年前の歌謡曲で彩られた物語であり、「鉄腕アトム」のテーマソングが入口となり出口となる物語でもあります。
「アトム」は中学3年生の物語であり、生徒会役員達の物語でもあります。中学生の淡い恋の物語であり、淡くとも熱い恋の物語でもあり、そしてよくある友情の物語でもあるのです。
私の全作品がそこを舞台にしている七つ森の物語であり、広島の物語であり、沖縄の物語でもあります。
「アトム」はアトムを夢見た人たちの物語であり、アトムをいまだに夢見ている人たちの物語でもあります。 そしてこれはアトムとアトムの妹ウランの物語であり、アトム=原子とその原子の一つであるウランの物語でもあるのです。そう聞くと深刻そうだと思う割には、笑い笑いで創られた物語であり、人によってはただ笑っているうちに終わってしまう物語なのです。
そして「アトム」は、次のことを観客に問いかける物語です。
「もし今アトムが生まれたら、アトムはどこに行くのだろう」
◆第14回全国中学校文化祭(全国大会)沖縄大会参加作品
◆2014関東中学校演劇コンクール 金賞・創作脚本賞
脚本「アトム」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「アトム」
キャスト メイン8名 その他 2人〜20人程度まで可(陸上部のメンバーを増やす)
上演時間 50分〜55分
体育祭の応援シーンで幕が上がるこのドラマは、走ることを描いた学園ドラマです。そして、走ることを描くと同時に走らないことも描いた学園ドラマでもあります。
ドラマの中心人物は廃部の危機にある、3年生だけの演劇部員達です。彼女たちは部の存続させるために、必死に新入部員を獲得しようとします。その彼女たちの目に留まったのは転校してきた2年生の武藤蘭という少年です。
彼は体育祭の練習をいつも見学しているのでした。彼を勧誘しようとするのは演劇部部長で生徒会長でもある野原歩美。実は、彼女も体育祭の練習を見学しています。
運動が苦手な歩美はけがを装って体育祭の練習を見学していたのです。
そんな時、歩美は武藤蘭が前の学校で駅伝の選手だったという話を聞きます。彼が以前に通っていた学校は、駅伝の全国大会の常連校だったのです。なぜそんな彼が走ることを拒むのか。そのことを軸に、ミステリーの手法でこのドラマは進んでいきます。
互いの秘密を知った後、2人は生まれ変わろうとします。そんなラストシーンで歌われるのが、「Happpy Birthday」。 このドラマはその歌声に包まれて幕となります。
このドラマは絆という言葉が好きではない2人の絆のドラマでもあります。タスキが途切れたことで切れてしまう絆ではなく、タスキが途切れたくらいでは切れない絆の物語です。
『Happy Birthday』は誕生日に、明日に向かって再び走り出すことを描いた物語です。
◆2015関東中学校演劇コンクール 銀賞
キャスト メイン10人 その他 4人〜10人程度まで可(語り部をシーンごとに変えていく)
上演時間 50分〜55分
「赤と青のレクイエム」は平安時代に生きていた山姥と呼ばれる青い血を持った存在(血が青いこと以外は私達人間と同じ)と、その存在をこの世からなくしてしまおうという赤い血を持った忍者達の物語です。正確に言えばある集団が演じる「赤と青のレクイエム」の上演そのものを描いた劇です。
劇中劇「赤と青のレクイエム」の登場人物は天才的な忍術を使う少年忍者・鷹丸、未来を予知できるサヤカ、蚊を煙のように飛ばして襲わせる蚊煙の術を使うカノミ、分身の術を使う不知火、そして鷹丸の師匠で「青い月」という謎の忍法を使う月影。
山姥討伐に出かけた彼らは、山の中で菊と梅という青い血を持った姉妹に出会います。彼らの心は揺れ動きます。最後の場面で山が火を噴き舞台が赤く染まります。炎に包まれた、赤い血の忍者と青い血の山姥は手と手を取り合って、遠い未来に差別のない世の中が来ることを夢見ながら死んでいきます。
突然、客席から「そこまでだ」と声がかかり、劇が止められます。そして舞台に黒服を着た人達が何人も上がっていきます。彼らは「赤と青のレクイエム」を上演しているこの集団は、山姥の生き残りであることを観客に伝えます。そして、彼らは現団員達に襲いかかります。彼らが傷つけた劇団員の手から青に血が流れ出ます。劇団員は「血が青ということで差別をしないでほしい」と声を限りに観客に訴えます。しかし、黒服の人達によって劇団員全員が舞台から連れ去られてしまうのです。舞台に誰もいなくなった後、静かに幕が下ります。
重い内容ではありますが、殺陣を取り入れることでエンターテイメントとして楽しむことができます。学年、学校劇として取り組むことで、人権についてそして差別についてより深く考えることができると思います。
神奈川芸術祭第15回演劇脚本コンクール 最終選考に残る
※応募時の題名は『山姥伝説』
脚本「赤と青のレクイエム」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「赤と青のレクイエム」
夏休み (戦後70年改訂バージョン)
キャスト メイン9人
上演時間 40分〜45分
『夏休み』は今から30年前の戦後40年に書いた私の戦争3部作(『夏休み』『私の青空』『ずっとそばにいるよ』)の1番目の作品です。その時の私は考えもしませんでしたが、戦後70年となった今も『夏休み』は多くの学校で上演され続けています。ただ時代の流れとともに、私自身、作品の一部に違和感を感じるようになってきたのです。今回、戦後70年を意識して全体的に書き直しを行いました。また、「もう少し短い作品だと上演できるのに」という声に応えて元の作品を大胆にカットして40分〜45分で上演できるようにしました。更に戦争3部作の他の2作品・『私の青空』『ずっとそばにいるよ』と内容的につながりを持たせました。高田勇輝とその妹・高田美奈が共通の登場人物です。
さて、『夏休み』のあらすじを紹介しましょう。
戦争の足音が近づく昭和11年、小学校最後の夏休みを前にした七つ森小学校の6年生達は、雨のように降る流れ星に出合い、それぞれが願いをかけます。スポーツ万能の高田勇輝の願いはオリンピックに出ること。男勝りでオイワと呼ばれている大岩洋子の願いは女優になること。歌が得意な遠野みどりの願いはオペラ歌手になること。勉強大好きの天野満夫の願いは大学でテレビジョンの研究をすることでした。主人公・大場憲一(通称バケ)の願いは「お化けに会いたい」。それを耳にした天野から馬鹿にされます。
そんな個性豊かな子どもたちが最後の夏休みの思い出作りに七つ森に肝試しに出かけます。しかし、突然の夕立に子どもたちは離ればなれになってしまいます。森で大場憲一は少女の姿をした妖怪に出会います。「お化けに会いたい」という彼の願いが叶ったのです。彼女は9年後の未来(昭和20年)から来たと言います。そして彼女は子どもたちの悲しい未来を語るのでした。 夏休みの最後の日、子どもたちは再び流れ星に願いをかけます。その願いは、叶わぬ願いだと知らずに…
ラストで現在の大場憲一が登場します。彼は澄み切った夏の空を眺めます。どこまでも青い夏の空に浮かぶ夏休みの思い出は楽しく、そして切ないのです。
『夏休み』は戦争の足音が近づく昭和11年の子ども達を70年後の現代から回想することによって描いた作品です。切なさに思わず涙がこぼれてしまう、そんな劇を上演したい人におすすめします。
◆第十六回創作テレビドラマ脚本公募(NHK後援)佳作一席受賞作品。(選評…その発想は面白く、不思議な魅力を湛えている)
◆第9回全国中学校文化祭(全国大会)神奈川大会参加作品
脚本「夏休み」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「夏休み」
私の青空(『青空』戦後70年バージョン)
キャスト メイン11名 その他 10人くらいまで可(偵察にいく生徒の数を増やす)
上演時間 50分
戦争3部作の2作目に当たるのが『私の青空』です。この劇のもととなる『青空』は、戦後60年に書いたものです。「戦争そのものを描かず、戦争を語るドラマを創りたい」、そんな思いから現代から戦時中を見つめる作品を創りました。しかし、戦後70年を越えた今、当時現代として描いた部分が10年前という過去となってしまったのです。戦後70年の今を描きたいという思いで大幅に書き直しをしたのがこの『私の青空』です。
以前の作品にはもう一つの欠点がありました。それは舞台が女子校だということです。そのために文化祭で上演する際に、男子を登場させることができないという問題が生じていました。その問題を解消するために、今回の舞台は七つ森学園という共学の学校にしたのです。戦闘機が大好きな翼という少年を重要な役として加えました。
この作品の舞台は戦争の展示物に囲まれた教室です。この劇を上演するためには、みんなが協力して戦争について調べ、展示を創らなければなりません。上演に関わった人達は、ただ劇を上演する以上に戦争に迫ることになります。
さて、『私の青空』のあらすじを紹介しましょう。 台風接近のため全員下校となった七つ森学園の3年1組の教室で、展示大賞を目指し、隠れて「太平洋戦争」の展示を進めている生徒達がいました。「子どもがまだ帰宅していない」という親からの電話で、生徒達は先生に見つかります。しかし、予想を上回る台風の急接近により、生徒達と先生は学校に閉じ込められてしまうのです。
自らが創った戦争の展示の数々、空腹、爆撃のように響き渡る雷、雷による停電。そんな状況の中、生徒達は戦時中の子ども達と自分自身を重ね合わせていきます。
生徒達は戦争当時この学校の生徒だった高田美奈さん(『夏休み』の登場人物・高田勇輝の妹)の体験談を暗闇の中で読み進めていきます。体験談が空襲で学校が燃えた場面にたどり着いた時、彼らの心は大きく揺り動かされるのでした。
このドラマのタイトルは『私の青空』ですが、劇中の天気は始めから終わりまで嵐です。しかし、この劇のタイトルは『私の青空』でなくてはならないのです。その理由はラストシーンにあります。
『私の青空』は『夏休み』『ずっとそばにいるよ』と繋がりを持った作品です。
戦争を現代の視点から描きたい。『私の青空』はそんな思いで創った現代の中学生による現代の中学生のための太平洋戦争を描いた劇です。
◆2007年子どもが上演する脚本募集(日本演劇教育連盟) 入選
辰島幸夫氏の選評(抄)…現代の中学生が太平洋戦争を学ぶ劇づくりでは、よくあのころにタイム・スリップするプロットを考えがちだが、このルーティーンを避けて戦時を実感させた「青空」は見事だった。
◆2006関東中学校演劇コンクール
脚本「私の青空」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「私の青空」
キャスト メイン8名 その他 2人〜5人くらいまで可(特攻に志願する戦闘員を演じる生徒役)
上演時間 50分〜55分
戦争3部作の3作目に当たる作品です。そしてこれは現代の中学生が制服で演じる太平洋戦争を描いた劇です。見た目からどうしても大人にはなりきれない中学生が、軍服を着て大人のまねをするのではなく、中学生が中学生であることを観客に堂々と示して演じられる戦争の劇です。スカートをはいた女子が大人の男性を演じることもある戦争の劇です。
登場人物は沖縄で開催される中学校演劇の全国大会出場を目指す演劇部の生徒たち。その演劇部が上演する劇のタイトルは『勇気』。元・演劇部顧問の高田弥生が祖父である高田勇輝から聞いた話をもとに創った劇です。そこに描かれているのは沖縄で行われた特攻です。練習時間を確保するためにみんな舞台衣装に着替えず制服のまま練習します。
演劇部部長の京花はどんなことがあっても、地区大会を突破して沖縄で開催される全国大会に出場したいと思います。彼女は繰り返し「全国のため」という言葉を口にします。彼女が劇の中で演じるのは、部下に沖縄での特攻を迫る上官役。その上官が繰り返し口にするのが「お国のため」という言葉です。「全国のため」という言葉と「お国のため」という言葉の持つイメージが重なるとともに、京花自身とその京花が演じる上官が重なっていきます。そして彼女が率いる演劇部は戦時中の軍隊のようになっていくのでした。
そのことに気がついた高田弥生の弟・正彦は、勇気を出して京花と向かい合います。そして、正彦は京花がそこまでして全国を目指す本当の理由を知るのでした。
さて、多くの学校で上演していただきたいので、あえてラストを書くことにします。劇のラストで、登場人物達が生きている世界は広島に原爆が落とされなかった世界だということが明らかになります。彼らが生きている世界は、私達が生きている現代のパラレルワールドだったのです。そして、そのパラレルワールドは、戦争3部作の『夏休み』『私の青空』では特攻で死んでしまった高田勇輝が、死ななかった世界でもあるのです。更に、この物語は幽霊の登場する物語でもあります。登場人物のひとりが実は幽霊なのです。そして、この物語はよくある願いがかなって消えていく幽霊の物語ではありません。もしも願いがかなっても、ずっとそばにいる幽霊の物語なのです。
終戦間際、高田勇輝は不思議な少女と出会いました。そのことから特攻を志願することを思いとどまったのです。そして、家族のもとに生きて帰ってきたのです。高田勇輝がその少女と出会ったというほんのちっぽけなことが、世界を大きく変えた。そんなことは絶対あり得ないことでしょうか。
中学生が戦争の劇を演じるなどということは、広い世界の中のほんのちっぽけなことです。でも、そんなほんのちっぽけなことが戦争のない世界を生み出す糸口になることがあるかもしれない。そんな、誰もが「冗談だよね」と笑い出してしまうような夢を、胸の奥底に秘めて創ったのがこの『ずっとそばにいるよ』です。
中学生が表現する戦争のドラマが、大人が表現する戦争のドラマよりも胸に迫ることがあるという可能性を信じることができる人に上演していただきたいと思っています。舞台を高校に移して高校生が演じれば、高校生ならではの面白さが発揮できるはずです。
◆2016関東中学校演劇コンクール 銀賞
脚本「ずっとそばにいるよ」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「ずっとそばにいるよ」
キャスト メイン8名、 その他 15人くらいまで可
上演時間 50〜60分
あらすじ
恵子は七つ森がレジャーランドになる計画を知り、それを阻止するために『七つ森』という創作劇の上演を企画します。しかし計画が始まってすぐ病に倒れます。それを引き継いだひろみは、自分では演出は無理と感じ、中学の時同級生だった恵子に演出を依頼しますです。
『七つ森』の舞台は、幻の銀の鷹が棲む森。森で生まれ育った少年ハヤト(銀の鷹の化身である母に育てられた)と、その森を我がものにしようとする瑠璃姫との戦いが描かれます。
ラストはハヤト達の勝利で終わるというハッピーエンドです。
第一部はその練習風景(制作過程)が描かれます。主役を演じる少年隼人はアメリカから日本に来たばかりで、漢字が苦手です。そのため台詞間違いを多発します。
子ども達が中心の集団はやる気だけはあるのですが、毎日毎日失敗ばかり、そして失敗が解消されないまま本番当日を迎えます。 第二部は『七つ森』の実際の上演です。上演中も、次から次へとトラブルが起こります。台詞忘れに、台詞間違い、予期せぬ舞台上での転倒…などなど。
そのトラブルによって劇は予定されていた内容と少しずつ違ったものとなっていくのです。 ラストシーンではトラブルのフォローが裏目に出て、主人公のハヤトが銃で撃たれる状況が生まれてしまいます。
うろたえる子ども達。このままではラストシーンで主人公のハヤトが死ぬことになってしまいます。
最終的に、子ども達は、用意されてたハッピーエンドとは違った、感動的なラストシーンにたどり着くのでした。
ラスト5分前まで笑いの笑いの連続で劇は進んでいきます。そしてラストはどんでん返しが待っている。『七つ森』はそんな楽しさいっぱいの劇です。
◆子どもが上演する脚本募集(日本演劇教育連盟) 入選 その時の題名は「化鳥伝説」
◆2010関東中学校演劇コンクール金賞受賞作品(久喜市立久喜中学校演劇部)
脚本「七つ森」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「七つ森」
キャスト メイン10名、 その他5名程度
上演時間 50〜60分
あらすじ
「とも」は小林知輝と森山智花と友川大空(そら)の3人の「とも」の物語であり、友の物語でもあり、共に生きる物語でもあります。
3人は七つ森総合病院に入院しています。知輝は七つ森中学校の2年生で演劇部員です。智花は隣の七つ森女学院の2年生で演劇部員です。智花が創った『虹の彼方に』という作品は、東関東中学校総合文化祭で最優秀賞を受賞しました。また彼女は最優秀脚本賞を受賞していました。知輝はその作品に感動し、脚本を手に入れて、暗記するほどそれを読み込んでいました。
ひょんなことから3人の「とも」が病院内で出会い、知輝は智花の目の前で大空君(難病で入院している小学生)に『虹の彼方に』がどんな物語か話すことになります。そして知輝の見事な語り口に、大空君だけでなく作者である智花も物語世界に引き込まれていくのです。『虹の彼方に』は病院に入院している子どもたちの物語です。そして、そのラストシーンでは登場人物の一人の少年が、みんなに感動的なメッセージを残して天国=虹の彼方に昇っていきます。
虹の彼方にいく少年の病気は大空君の病気と同じでした。大空君は、泣きながら病室を出て行きます。多くの人を感動させた『虹の彼方に』は、同じ病気と闘っている大空君を苦しませることになったのです。智花は知輝の目の前で最優秀脚本賞の賞状を破きます。知輝はそれを必死に止めます。この時、二人の間にはほのかな恋が芽生えていました。
「とも」は、死を感動の道具として使う多くのドラマへのアンチテーゼとして創られたものです。この物語は「共に生きる」物語としてラストに向かって進んでいきます。
「とも」は難病の子どもを題材とした劇ですが、よくある難病ものにはしないという強い思いから生まれた劇です。「とも」は難病ものを扱った劇を創作した少女の物語です。
◆2011関東中学校演劇コンクール会長賞受賞作品(久喜市立久喜中学校演劇部)
脚本「とも」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「とも」
キャスト メイン15名、 その他多数出演可
上演時間 50〜60分
あらすじ
姫野小百合は七つ森中学校にやってきた転校生。前の学校で演劇部に所属していた小百合は、演劇部が上演する『怪談の多い料理店』を観に行きます。『怪談の多い料理店』は、6つの怪談がシェフたちによって紹介されるオムニバス形式の劇です。
6つの怪談のタイトルは、第一話「かまいたち」、第二話「トイレの鼻毛さん・予告編」、第三話「木霊」、第四話「山姥の微笑み」、第五話「天邪鬼」、第六話「幻の森」。
「幻の森」の途中で劇は終わります。登場人物の一人である茂美が退部したいと言い出したためです。
劇に興味を持った小百合は演劇部に入部し茂美の代わりに静という少女を演じることにします。
彼女が劇の練習をしている時、七つ森中学校の七不思議と呼ばれている不思議な現象が起こります。そして、現実世界と今まで上演してきた劇が重りあっていきます。そして、七つ森中学校演劇部によって上演された6つの怪談が現実世界で一つの物語に収斂されていきます。小百合はそこで静という美しい少女と天邪鬼という醜い妖怪の悲しい物語と出合います。そして、七つ森中学校の七不思議の正体が明らかになるのです。
これはディズニー映画「美女と野獣」を観た時(そしてボーモン夫人による原作を読んだ時)、ラストで野獣が王子となる結末に「結局結ばれるのは王子様なんだ」と感じた気持ちが創作意欲を刺激して生まれた作品です。
「 王子様にはなれない醜い妖怪が人間の少女と愛し合うことができるのか」。
『怪談の多い料理店』は、そんな問いから生まれたもう一つの「美女と野獣」の物語です。
脚本「怪談の多い料理店」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「怪談の多い料理店」
キャスト メイン3名、 その他7名程度
上演時間 50〜60分
あらすじ
『銀河鉄道の夜』に登場するザネリ。『銀河鉄道の夜』を扱った劇を何度も観ました。その多くが、ザネリを極悪人として描いていました。私は思うのです。「確かにザネリがジョバンニにした事は悪いことだ。しかし、それがザネリのすべてではないはずだ。だからカムパネルラはザネリと友だちでいたんだ。カムパネルラが彼を助けて死んでしまった後、ザネリはきっとずっとそのことを背負い続けて生きただろう」と。そんな思いを抱きつつ創った物語が『ザネリ』です。
主人公の隼人は姉の舞とともに、アメリカから日本に戻ってきます。母が火事が原因でなくなったからです。母は炎に包まれた隼人を助けるため火の海に飛び込み、隼人を助けそしてなくなったのでした。
隼人が通っている七つ森小学校の5年生は、この夏『銀河鉄道の夜』を上演します。そのためのオーディションが行われるのですが、誰もザネリはやりたがりません。そして最終的に、隼人がザネリをやることになります。
隼人は自分自身をザネリと重ねます。そんな隼人を気にかける花や鳥に詳しいひろみという人物。隼人はひろみを女性だと思っていますが、実はひろみは日本に残った隼人の兄だったのです。ひろみは自らが書いた『もう一つの銀河鉄道の夜』を隼人に渡します。それはカムパネルラが生還する物語でした。それを読んだ隼人は…
自らの命を投げ出して人を救った人の話はたくさんあります。この物語は救った側ではなく、救われた側のその後を描いたドラマです。
◆2011関東中学校演劇コンクール優秀賞受賞作品(久喜市立久喜中学校演劇部)
脚本「ザネリ」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「ザネリ」
キャスト メイン3名、 その他10人程度出演可能
上演時間 30分
あらすじ
東明子はプロの脚本家、ネットいじめについての脚本を依頼され現在それを執筆しています。彼女は娘の麻由美に途中まで書いた『魔術』という作品を読んでもらいます。『魔術』は芥川龍之介の『魔術』に登場するマティラム・ミスラの現在を描いたものです。
◆ミスラのもとに網野亜美という少女が相談に訪れます。ネットいじめで苦しんでいる美里を助けてほしいというのです。最初は要求を断るミスラでしたが、最終的には亜美の望みを叶えてやるという約束をします。◆
その続きは母が娘・麻由美に構想を語っていく形で紹介されます。
◆亜美のもとに美里から電話がかかってきます。ネット上に書かれていた書き込みがすべて消えているというのです。美里へのいじめはなくなったのです。学校に行くとクラスのみんなが亜美に対して口を聞こうとしません。助けてあげた美里までもそうなのでした。家に帰った亜美は愕然とします。ネット上に亜美に対しての誹謗中傷を発見したのです。美里のいじめは亜美に移ったのです。◆
麻由美は母に亜美を助けてほしいと懇願します。実は麻由美は友だちの誹謗をネット上に書き込んでいたのです。そして、それを消そうとしても自分ではどうしようもできなくなっていたのです。麻由美は亜美だったのです。それを知った母は…
◆第1回埼玉県子ども人権フォーラムにおいてネットいじめを題材にした劇の上演を依頼されて創った作品です。ハッピーエンドではない、続きは劇を観たそれぞれの人たちの心の中で続いていくといったエンディングを用意しました。
脚本「魔術」を途中まで読んでみたい方は次をクリック 「魔術」
森の交響曲(シンフォニー)
キャスト メイン12名、 その他多数出演可
上演時間 50〜60分
あらすじ
森野美樹の母・響子は著名な音楽家。彼女は七つ森を題材にした、「森の交響曲」と題したシンフォニーの作曲に取り組みます。美樹はそんな母に自分と音楽のどちらが大切か迫り、母の作っていた楽譜を破いてしまいます。そして母と一言も口をきかなくなってしまうのです。
ある日、美樹のもとに「森の交響曲」という母が創った戯曲が送られてきます。それは美樹という少女が「森の交響曲」という戯曲を読んでいるうちに、その世界に入っていくという内容でした。
美樹はそれを読んでいるうちに本当に自分がその世界にいるような不思議な気分を体験していきます。
森の少年カノンは「森の交響曲」という音楽を物語の中で創っています。第一楽章は「囀り」。カノンが第一楽章を作り終えたとき、森の中から鳥の囀りと鳥の姿が消えます。そしてそれと同時にその記憶も失われるのです。それを盗んだのはトーマという、
変幻自在で神出鬼没のなにものかであることが明らかになります。 カノンは第二楽章「風」、第三楽章「闇」、第四楽章「言霊」を完成させていきますが、その楽章が完成するとともにその音と記憶が森の中から消えてしまうのです。
第四楽章では登場人物も次から次へと消えていき、最後に美樹が一人森に残ります。彼女は物語の中から戯曲を読んでいる現実の美樹に助けを求めます。戯曲の中の美樹は現実の美樹によって助けられます。それが戯曲の結末でした。
戯曲を読み終えた美樹の前に母が現れます。戯曲は終わってはいなかったのです。母の口から語られる、戯曲の続きである「第五楽章」の表題は「美樹」。それはどんな内容なのでしょう、そしてトーマの正体は…。現実世界で「森の交響曲」が続いていきます。それは結末の予想できない現在進行形の劇なのでした。
劇が終わっても交響曲は終わらず、観客の心の中で続いていくことでしょう。
久喜市の子ども芸術祭で上演された際に、千人を超える観客を集め大ホールを満員にした作品です。主役は一人三役を演じるという難しい役どころですが、それだけにやりがいのある作品だと思います。