自然劇場の記録
※ここに掲載されている写真は当日撮ったものではありません。撮影者…斉藤俊雄
第21回自然劇場 2002年3月31日(日)カワセミ探しの自然劇場
第20回自然劇場 2002年3月3日(日)群馬県多々良沼
第19回自然劇場 2001年5月12日(土) 日光小倉山森林公園
第18回自然劇場 2001年4月8日(日) 久喜古利根川周辺
第17回自然劇場 2001年3月27日 蓮田市黒浜(東埼玉病院〜黒浜沼)
第16回自然劇場 2001年2月17日(土) 久喜市昭和池

第21回自然劇場 2002年3月31日(日) カワセミを探して 

今回はカワセミ探しの太東中演劇部最後の自然劇場。最後の最後で大きなドラマが待っていた。


自然劇場に現れた鳥達 
2002年3月31日(日) カワセミ探しの自然劇場
1 カワセミ 2 ハクセキレイ 3 セグロセキレイ 4 キセキレイ 5 カイツブリ
6 カルガモ 7 コガモ 8 コサギ 9 ダイサギ 10 ゴイサギ
11 セグロカモメ 12 キジバト 13 シメ 14 カワラヒワ 15 ツバメ

16

ヒバリ 17 ホオジロ 18 ツグミ 19 ウグイス 20 シジュウカラ
21 アオジ 22 スズメ 23 ヒヨドリ 24 ムクドリ 25 オナガ
26 ハシブトガラス 27 ハシボソガラス

太東中の教師としての最後の部活動になにがふさわしいか。いろいろ考えた末、自然劇場を開催することにした。
この代になってからの自然劇場ではなぜかカワセミを一度も見ることができない。
そのためカワセミは憧れの鳥となっていた。そのためカワセミを見ることを目的に自然劇場を開催した。

昨日、吹奏楽部の公演を見た後、今日の自然劇場を成功させるためにカワセミさがしに出かけた。まずはとっておきの秘密の場所に出かける。 今までは百%の確率でカワセミを見ている場所だ。到着してすぐドボンという水音が聞こえる。音のする方を見るとカワセミが魚を加えて水の中から飛びだしてきた。そのカワセミがとまったところにはメスのカワセミが。
「 明日、ここに来れば大丈夫」、そう確信した。

集合は9:00太東中。「カワセミ見られますか」の質問には「うん、100%見られるだろう」などと自信を持って答える。
そして早速目的地に、近道をしようとして道を間違え到着したのは10:30。カワセミは見あたらない。
ダイサギ、コサギの白サギの仲間、カルガモ、オナガ、シメ、キセキレイ等々たくさんの鳥を見ることができるが、カワセミだけがどうしても出てくれない。実は自分自身の片づけもあるため、見られたらすぐ 学校に戻るつもりでいたが、「カワセミを見たい」という強い気持ちを感じ、昼を食べた後もカワセミを待つことに。いつもは待ちの鳥見をしない自分だが、今日ばかりは…。

幸い午後は雨という予報であったが、雨は降らずお日様も顔を出す天気に。しかし…。3:30になった段階で帰る決断をした。
最後の自然劇場だっていうのに…。「目的の鳥が見られなくても楽しい、自然劇場はそうでなくてはいけない」と常日頃からいっている自分も今日ばかりはそこはかとなく淋しい。ここでの100%はその時なくなった。

帰る途中一人の自転車がパンクした。みんなが交代でその自転車走って押していきながら帰った。
そのため帰りは更に遅くなる。予期せぬドラマはそこから始まった。

太東中近くのロードレースのコースとして使っている砂利道の横に、少なくともきれい とはいえない堀が流れている。
最後の望みを託して、その堀を望遠鏡で見てみる。コガモとカルガモがいた。キセキレイ(写真・右)が川辺を歩いている。
「キセキレイが奇跡を起こす」という冗談を言ったその時。
「チー」という鳴き声が聞こえてきた。
「カワセミ!」その鳴き声に条件反射で言葉が飛び出た。
遠く、堀の先の先からこちらに向かって1羽の鳥が水面すれすれを飛んできた。
カワセミだ。
カワセミは僕らの手前で急上昇し、背中のコバルトブルーをしっかりこちらに示した後、飛び去っていった。
部員全員がその姿を見ることができた。
歓声が上がる、何度も何度も拍手が起こる。こぼれる笑顔、笑顔、笑顔。

人生なんてこんなもんだと思う。あの時自転車がパンクしなければ、もっと早くここを通り過ぎて 見られなかったかもしれない。パンクしてくれてありがとう、そんな言葉も飛び出していた。
こんな汚いところにカワセミがいるはずないと思ったら見ることができなかった。最後まで可能性を信じてよかった。
脚本に書いたらいかにも作られたドラマとなってしまうようなこの状況。これが現実に起こるのだから人生って面白い。
なんどもなんども見ようとしてみられなかったカワセミ。それがこんな形で最後の最後に現れるなんて。
彼/彼女らは今日のこの感動を死ぬまで忘れないだろう。これはけっして大袈裟な言葉ではない。

自然は太東中とのお別れに素敵なドラマをプレゼントしてくれた。自然を心から愛し続けてきたことへのご褒美だろうか。
カワセミを見たときのあの笑顔を胸に、明日からがんばっていこうと思った。
太東中学校演劇部のみんな、今まで本当にありがとう。楽しかった。

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第20回自然劇場 2002年3月3日(日) 群馬県多々良沼 

オオハクチョウ、コハクチョウ、コブハクチョウの3種類の白鳥を見ることができる(ただしコブハクチョウは野生ではないが)。その他キツツキのドラミングの真似をするカラスやメジロの鳴き声をまねるモズなど面白い出し物もあった。
カラスにモビングされるオオタカが長い時間見られたのも収穫だった。


自然劇場に現れた鳥達 
2002年3月3日(日) 群馬県多々良沼
1 カイツブリ 2 カワウ 3 アオサギ 4 コサギ 5 ダイサギ
6 コハクチョウ 7 オオハクチョ 8 コブハクチョウ 9 オナガガモ 10 カルガモ
11 マガモ 12 コガモ 13 ヒドリガモ 14 キンクロハジロ 15 ハマシギ

16

エリマキシギ 17 セグロカモメ 18 ハイタカ 19 オオタカ 20 チョウゲンボウ
21 トビ 22 キジバト 23 コゲラ 24 アオゲラ 25 セグロセキレイ
26 ハクセキレイ 27 ビンズイ 28 ヒバリ 29 ヒヨドリ 30 モズ
31 ジョウビタキ 32 ツグミ 33 ウグイス 34 シジュウカラ 35 メジロ
36 ヤマガラ 37 アオジ 38 オオジュリン 39 カシラダカ 40 ホオジロ
41 カワラヒワ 42 シメ 43 スズメ 44 ムクドリ 45 オナガ
46 カケス 47 ハシブトガラス 48 ハシボソガラス

自然劇場IN多々良沼の開催である。 
今回も今日のために前日図鑑を見て勉強をしてきた。ただ鳥を見るというよりも自然に、鳥の世界に深く入り込むためである。
勉強は楽しいものだということをまなぶことのできるよい機会であった。
今日の探鳥には太東中で何年か前に生徒会長をやっていた、現在野鳥の会所属の伊藤君が手伝いで参加してくれた。ありがたい。

7:40久喜駅に集合、東武伊勢崎線に乗って多々良に向かう。
多々良で下車、多々良沼に向かう。その途中で電線にとまるモズや空を舞うハイタカに出会うことができた。

沼に着いた。しかし白鳥が1羽もいない。どうしたことだろう、今年は過去に例のない暖冬なのでもう北国に旅立ってしまったのか。
焦りを感じそこで水鳥を見ることにした。
2週間前に訪れたときにはいたミコアイサ(パンダの顔をしたユニークな水鳥)、ハシビロガモなどなどが見あたらない。カモの数は明らかに減っていた。オオハクチョウ
30分くらいたったときだろうか上空を白い大きな鳥が数羽飛んできた。オオハクチョウだった。
子どもたちから大きな歓声があがる。白鳥は自分たちの方に向かって飛んできて、着水した。
その後鳴き交わしたり餌を取ったりと、様々なパフォーマンスを見せてくれた。

しばらくオオハクチョウを楽しんだ後、前回コハクチョウが群れていた場所に徒歩で向かう。
芦原にオオジュリンやジョウビタキを見つけることができる。ジョウビタキ♂の美しさは子どもたちの心をしっかりとらえたようだ。
白鳥の次の目的であるカワセミ(2週間前には何回か目撃された)を探すが、残念ながら見つからなかった。

オオハクチョウ(中央)とコハクチョウ(左)さて、目的のコハクチョウの群のいる場所に到着、50羽近くのコハクチョウが沼に浮かんでいた。
オオハクチョウとコハクチョウの違いをスコープで確認する(写真…中央がオオハクチョウ、その左がコハクチョウ)。
次に沼に隣接する林の探検を始める。2週間前にはクロジやカケスなどを見ることができた場所だ。
しかし、今日はどうも鳥の姿が少ない。シメを見ることができたくらい。
弁天様の方に向かう。

そこで水鳥を眺めていたとき、突然水鳥が一斉に飛び立った。条件反射で上空を眺めると、そこにオオタカが飛んでいた。
「オオタカ!」という声にみんな上空を眺める、久喜ではタカを見るチャンスは多くはない。みんな双眼鏡で悠然と飛ぶ鷹を追った。
その時オオタカにカラスが近づいてくる1羽、また1羽、最終的には4羽のカラスがオオタカにまとわりついた。モビングという行動だ。オオタカをモビングするカラス
カラスは集団でオオタカにちょっかいを出す。こうなると判官贔屓の日本人の血が騒いでしまう。生徒達は聞こえるはずないことを承知で「オオタカがんばれ」と空に向かって叫んでいる。
10分くらいそんな状況が続いた後、オオタカは空高く見えなくなってしまった。
次にシギチドリの仲間を見る。ハマシギの集団の横に、見慣れないシギが。
はじめて図鑑を手にした。エリマキシギだった。3羽いた。後で聞いたところによると数日前には4羽いたのだが、1羽はオオタカに食べられてしまったようだということだった。この話を聞くと、先ほどカラスにいじめられていたオオタカが一気に悪役になってしまう。でもこれが自然のありのままの姿だ。
その後各自で昼食を取る。そのとき「ドゥルルルルルルル」と木を激しく叩く音が聞こえてきた。かなり大きい音が響き渡る。キツツキだと思った。子どもたちはその音のする方向に 走っていき音を発する主を探し始めた。音はかなり大きく響いているし、その音源はかなり近くであるにもかかわらずなかなかキツツキを発見できないでいる。しばらくして子どもたちが喜びとも落胆ともいえない不思議な表情で戻ってきた。
「カラスでした!」笑いながら元部長がいった。
「カラス!」カラスが口を開けるときとドラミングの音が完全に一致したのだという。あーなんて惜しいことを…。キツツキだったら何度も見ているけど、キツツキのドラミングをまねるカラスを見たことはなかった。落胆する自分を見て子どもたちはなんかとっても素敵なものを見たのだと確信したようだ。いつもは何気なく見過ごしてしまうカラス、でもカラスの世界もどうしてどうして奥が深い。
あれはキツツキの物真似だったのだろうか、それとも…。

モズ♂隣の木でメジロが鳴いていた。忍者のように現れては消え現れては消えと忙しく動いている。
ところがしばらくして動かないで囀るメジロが現れた。静止して囀る珍しいメジロの出現だ。
双眼鏡で入れてみるとそれはモズだった。モズは漢字で書くと百舌、要するに百の舌をもつ物真似の名人なのだ。以前ウグイスの真似をするモズをみたことがあるが、メジロの真似をするモズにははじめてであった。
鳥をみる楽しみは鳥そのものの姿を見る楽しみと、その鳥の行動をみる楽しみがある。その両方を楽しめるようになると、鳥への興味は長続きするようになる。

帰りは松林を通って駅に向かう。林の中でビンズイやヤマガラを見ることができた。
鳥合わせをすると48種類(野生ではないコブハクチョウを入れているが)。楽しい自然劇場だった。
ただ今回もカワセミには出会えなかった。

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第19回自然劇場 2001年5月12日(土) 日光小倉山森林公園 

オオルリを求めて日光小倉山森林公園に。目的のオオルリをじっくり観察できる。その青に魅了された。キビタキの黄色も美しいものだった。自然の美を十分堪能した自然劇場であった。


自然劇場に現れた鳥達 
2001年5月12日(土) 日光小倉山森林公園
1 サシバ 2 キジ 3 キジバト 4 コゲラ 5 アカゲラ
6 アオゲラ 7 アマツバメ 8 ツバメ 9 イワツバメ 10 キセキレイ
11 ヒヨドリ 12 モズ 13 アカハラ 14 ウグイス 15 オオルリ

16

キビタキ 17 シジュウカラ 18 ヤマガラ 19 ホオジロ 20 カワラヒワ
21 カケス 22 スズメ 23 ムクドリ 24 ハシブトガラス 25 ハシボソガラス

自然劇場IN日光の開催である。 
今日のために図鑑を見たり、CDを聞いたりとずいぶん野鳥の学習を積んできた。
それぞれが憧れの鳥を持ち、今日の日を楽しみにしてきた。それだけにエキサイティングな自然体験となる予感に満ちていた。

朝、窓を開けると真っ青な青空が飛び込んできた。出足好調。
OB4人、保護者3人を含む総勢29人で日光の自然劇場に向かう。
今日の舞台は小倉山森林公園。東武日光駅から徒歩5分という手頃な場所だ。 
行きの列車はとても混んでいた。眠りながら昨日までの疲れをとろうという予定はあっさり崩れ去った。

東武日光駅に到着する。駅の建物にはイワツバメが巣を作っている。早速、観察会の始まりだ。
イワツバメはツバメと違って尾が短く、腰の部分が白い。その違いを楽しんだ。 

予定では小倉山森林公園の入り口で目的のオオルリに出会えるはずだった。
見に行ったときに1番見やすく2日ともオオルリが見られたのがここだった。
しかし…。オオルリの囀りはそこにはなかった。
「このところ暖かい日が続いたからな。もっと高い場所に移ってしまったかもしれない。」
僕のこの言葉にみんなの顔が少し曇る。 

キセキレイその時、キセキレイが現れる。
1年生以外は一度は見たことのある鳥だが、みんな夢中で双眼鏡を向けた。
「かわいいー」の声に少しほっとする自分。 

その時上空に突然2羽の大きな鳥が現れた。
なにやら争っている様子である。
カラスとサシバ(南から渡ってくるカラス大のタカ)である。
同じくらいの大きさなのにカラスの方が優勢だ。
「タカがやられている!」
タカは獰猛で強い鳥だというイメージを持っている生徒達の目に、カラスにいじめられているタカの姿は意外に映ったようだ。
けっこうよく見られる風景なのだが。

天気が良すぎるのか、鳥の囀りがあまり聞こえない。ホンドリス
そんななか、鳥ではなくニホンリスが現れてくれた。
野生のリスを見るのはみんな始めてのようで、かなり興奮していた。

キビタキしばらくして美しい囀りが聞こえてくる。
キビタキだ。姿もばっちり見られるが、素早く動き回るのでスコープに入れても見せることができない。
双眼鏡で姿を確認できた生徒は半分くらいだった。
まだ双眼鏡の使い方に慣れていない1年生には鳥の姿を捉えるのは簡単ではない。

 その時、遠くの方から「チーロールーリージジッ」という声が。
「オオルリだ!」
その一言にみんなの表情が活気で漲ってきた。

OBの四人はこのオオルリが事実上の主人公である「化鳥伝説」という劇を上演している。
そのうちの一人はオオルリを演じている(といっても、自分はクマやサルが自然保護を訴えるなんて劇は好きではない。人間の姿に化けたオオルリの話である)。 

前回の自然劇場IN日光では、オオルリの鳴き声は聞くことができたのだが、姿は残念ながら見られなかった。
今回こそはと期待が膨らむ。 
オオルリは木のてっぺんの目立つところで囀るので見つけるのは容易なはずだった。
しかし、このオオルリは木の中程で囀っている。
道幅が狭く、スコープで入れるのが難しい。とりあえず双眼鏡で見てもらう。
何人かは確認できたが、半分以上のものが「どこ!どこ!」と叫び、焦っているうちにオオルリは飛び去った。 
見られたものたちは興奮し、見られなかったものは落胆している。 

「きっとまた見られるよ」と励まし。とりあえず昼食にする。 
食事が終わった頃、再びオオルリが現れる。
今度は半分以上のものが確認できたが、どういうわけかこのオオルリ動き回って囀るため、すぐ飛び立ってしまい双眼鏡がうまく使えない生徒達はなかなか視野にとらえることができない。焦れば焦るほど、違うところを見てしまう。
この段階でまだ保護者を含め十人ほどがオオルリを確認できないでいた。 

オオルリ2週間前と比べて新緑が美しくなったぶん、その美しい葉が鳥の姿を隠してしまう。
もう少し見晴らしのよい場所を求めて移動する。 
小高い丘をしばらく降りたところに、ぱーっと開けた場所がある。 
そこの向こうの林でオオルリが囀っていた。 そして、見つけた。 
今度はじっとしている。スコープに入れることもできた。 
はじめはこちら向きで囀っていたため、背中の青があまりよく見えない。 
しかし、次にオオルリは大サービスをしてくれる。 なんと木の幹に止まってくれたのだ。 
キツツキのように木の幹に止まるオオルリを見たのはこれが初めてだ。 
背中の青が日の光に輝いている。うっとりとするような魅惑的な青だった。 
全員スコープで確認することかができる。 
みんな顔に「満足した」という文字が刻まれていた。
僕の顔には「ほっ」という文字が刻まれていたはずだ。

夕立が心配だったので2時発の浅草行きで、帰路についた。
帰りはゆっくり座って帰れる。みんなよく眠っていた。
オオルリの夢でも見ていたのだろうか。 

今日自然劇場で見られた花 
ミツバウツギ、ヤマツツジ、レンゲツツジ、オトコヨウゾメ(以上木の花)
マムシグサ(ミズバショウと同じ仲間なのだが、マムシの模様をした茎、毒々しげな花は、ミズバショウとは違った意味で印象的だ。この花は雌雄があるが、雄花には出口があるが、雌花には出口がない。花粉をつけて入った虫は出口を見つけられず死んでしまう。恐ろしい花なのである)、
ミツバツチグリ、フデリンドウ、キンポウゲ、
マイヅルソウ(舞鶴草と漢字で書いた方が感じがでる)、
チゴユリ(この花は清楚で好きだ)、
ユキザサ、ミヤマハコベ、ムラサキケマン、ニョイスミレ、タチツボスミレ、ヤマガラシ。

オオルリにかき消されてしまった感はあるが、花も楽しめた。
2週間で花は大きく変わっていた。

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第18回自然劇場 2001年4月8日(土) 久喜古利根川周辺

生態系保護協会久喜支部の自然観察会と合流してカワセミを求めて歩いたが、今日もカワセミには出会えなかった。しかし、春の草花とたくさんで会うことができた。


自然劇場に現れた鳥達 
2001年4月8日(日) 久喜古利根川周辺
1 カイツブリ 2 カワウ 3 カルガモ 4 コガモ 5 イソシギ
6 ヒヨドリ 7 ムクドリ 8 ヒバリ 9 モズ 10 コジュケイ
11 コゲラ 12 ツグミ 13 アオジ 14 キジバト 15 ツバメ

16

スズメ 17 カワラヒワ 18 オナガ 19 ハシボソガラス 20 ハシブトガラス

生態系保護協会久喜支部の観察会に生徒を連れて参加した。コオニタビラコ(昔のホトケノザ)
カワセミが目的だったが、今回もカワセミには振られた。
一つ前の代はいつ行ってもカワセミが見られたが、この代はどうもカワセミとの相性がよくない。
それだからこそ、カワセミに出会ったときの感動は衝撃波となることだろう。
最後まで出会えないことはないはずなので、はじめての出会いに立ち会うことが楽しみだ。

◆今日確認した植物(太文字は花を付けていたもの)
キク科
カントウタンポポ、セイヨウタンポポ、シロバナタンポポ、ハルノノゲシ、コオニタビラコ(春の七草の一つ、昔のホトケノザ)、ヒメジョオン、コバナキジムシロ、ハハコグサ(春の七草の一つオオイヌノフグリ、ゴギョウのこと)、ノボロギク、オニノゲシ、オオジシバリ、ヨモギ
バラ科
 ヘビイチゴ
ゴマノハグサ科
 オオイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、トキワハゼ、ムラサキサギゴケ、ムシクサ
シソ科
 ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、カキドオシ
セリ科
 ヤブジラミ、ヤブニンジン
マメ科
 カラスノエンドウ、レンゲ、シロツメクサ
ケシ科
 クサノオウ
タデ科
 スイバ(スカンポ)、ギシギシ
アブラナ科
 ナズナ、イヌガラシ、コイヌガラシ、タネツケバナ、ショカッサイ
ムラサキ科
 キュウリグサ
フウロソウ科
 アメリカフウロ
ナデシコ科
 ハコベ、オランダミミナグサ、ノミノツヅリ、ツメクサ
カタバミ科
 カタバミ、
スミレ科
 タチツボスミレ
キンポウゲ科
 タガラシ
トウダイグサ科
 トウダイグサ
アカネ科
 ヤエムグラ
イネ科

 スズメノカタビラ、スズメノテッポウ

◆樹木の花(ただし自生しているものまたは神社に植えられているもの)
イヌコリヤナギ、ニワトコ、ヒサカキ

街路樹や庭木まで記入していたらもう大変。
今日は本当にぽかぽかの花粉日和だった。
家に帰ってからくしゃみが止まらない。

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第17回自然劇場 2001年3月27日(土) 蓮田市黒浜(東埼玉病院周辺〜黒浜沼) 

キジを求めて春の探鳥会に。自然劇場では初登場のマヒワの集団を見ることができた。キジも♂が悠然と畑の中を歩いていた。今回の自然劇場は五感を研ぎ澄ます場となったと感じている。


自然劇場に現れた鳥達 
2001年2月17日(土) 久喜市昭和池
1 カイツブリ 2 カワウ 3 コサギ 4 ダイサギ 5 オオバン
6 バン 7 カルガモ 8 コガモ 9 イソシギ 10 キジ
11 コジュケイ 12 キジバト 13 コゲラ 14 ツバメ 15 キセキレイ

16

ハクセキレイ 17 ヒバリ 18 ヒヨドリ 19 モズ 20 ジョウビタキ
21 シロハラ 22 ツグミ 23 ウグイス 24 シジュウカラ 25 アオジ
26 カシラダカ 27 ホオジロ 28 カワラヒワ 29 マヒワ 30 スズメ
31 ムクドリ 32 オナガ 33 ハシブトガラス 34 ハシボソガラス 35

2ヶ月ぶりに自然劇場に出かける。 今日の目的地は蓮田の黒浜。
 僕は太東中に来る前は蓮田市立黒浜中学校に勤務していた。 自分にとって第二の故郷のような場所である。

午前九時に太東中に集合。昨日の雨は上がり、夜吹き荒れていた風もずいぶん弱まった。
空は快晴、絶好の鳥見日和である。 

まずは太東中のわきに流れている古利根川沿いに鳥の姿を探す。
はじめに見られたのがダイサギ、その後コサギも現れたので違いをよく理解できる。
冬はダイサギの嘴は黄色であるため(夏はコサギ同様黒くなる)、コサギとの区別は明瞭である。;
コサギは夏羽になっている。頭の後ろの二本の冠羽とレースのような背中と胸の飾り羽には気品を感じた。

カルガモがいた。なにやら様子がおかしい。 
何をしているのだろうと見ていると、カルガモの下からもう1羽のカルガモが水面上に現れる。
何と交尾をしていたのだ。 
誰も双眼鏡で覗かなかったようで「あれ何してるんですか」という質問はなかった。
少しほっとしている自分がいた。
毎年、四月の終わり頃には子を連れて泳ぐカルガモが見られる。今年も見られそうだ。
春だなー。

川を後にして、黒浜に。自転車で約四十分。
途中コンビニで休憩をとる。
そこにツバメが飛んできた。今年はじめて見るツバメである。
ツバメは夏鳥の中で1番早く日本にやってくる。
春だなー。

四十分の道のりは四十の自分にはちょっときつい。
汗をかきかき目的地に到着した。
黒浜の東埼玉病院周辺で鳥を探す。

はじめに現れたのが小型のキツツキ、コゲラである。
このメンバーは全員がコゲラを見るのははじめて。
コゲラは肉眼でその模様が確認できるほどの近さまでやってきて 桜の木をしきりにつついていた。
ありがたい、これでみんな鳥に興味を持ってくれる。ありがとうコゲラ君。

マヒワの群れ次に現れたのがマヒワ。マヒワは冬鳥の代表。まだ帰らずにいてくれたとはありがたい。
自然劇場でマヒワが現れたのはなんとこれがはじめてのこと。
それを伝えたらとたんにみんなのこの鳥を見る目がかわる。
珍しいということがもたらす魔力である。
いつまでたってもこの見方しかできないことは問題があるのだが、はじめはこれでいいとだと思う。

自分にとって、黒浜でマヒワを見るのは四年ぶりのことである(あのときは四月の終わりまでいてくれた)。
今年は雪が多かったのでマヒワも里まで餌を求めてきているのだろうか。
マヒワは黄色の美しい鳥だ。
十数羽のマヒワが目の前の気にこれまた肉眼で確認できる距離まで来てくれた。
更に見やすいように五、六羽が地面に降りてくれるではないか。
双眼鏡の使い方がうまくない1年生も、これなら大丈夫、全員がじっくり見ることができた。

そして、草原に向かう。
植物が好きな生徒がいるので、「これなんですか」の質問が始まる。
鳥見はいつのまにやら植物観察の場に。

ホトケノザとヒメオドリコソウを摘む生徒。 紫の可憐で美しい花だ。
視覚が研ぎ澄まされる。

遠くから「茎を見てごらん」と声をかける。
実はそれらの茎は直方体である。植物の茎は丸い円柱だと思っているものにとってはびっくり。
「茎を切ってごらん」と声をかける。
「空洞だ」という驚きの声が返ってくる。
理科の時間で維管束を調べるときには空洞の植物など使わないだろう。
子供たちは茎の中が空洞ということが驚きなのだ。
でも空洞の植物ってたくさんあるのだけど。

「これなんですか」 。それはオランダミミナグサだった。
この草は春の七草のハコベとそっくりである(同じ科で同じ属)。
そこで二つを並べて比べてみる。ミミナグサは葉が厚く、葉にふさふさと毛が生えている。
触ってみるとその毛触りがなんともいえない。
触角が研ぎ澄まされる。

ニワトコが生えていたので葉をちぎって匂いを嗅がせた。
「ピーナツバターの匂いだ」。
生徒同士が楽しそうに葉をちぎっては匂いを嗅ぎあう。
嗅覚が研ぎ澄まされる。

ツクシ「ツクシ!」と叫ぶ声。悲しいかな最近はツクシも珍しい。
「昔はツクシを食べたんだよ」という話から 「何か食べられるものありますか」という話に
「ハコベなら食べられるよ」というと 「食べたい」「食べたい」といってくる、いいなこの乗り。
教師として犬が用をたしたかもしれないここのハコベをばりばり食べさせるわけにはいかない、
道から離れたところにある新鮮な葉を摘んでまず自分で食べる。
ハコベはぴりっとした辛みがあっておいしいのだ。
僕は散歩しながらよくこれを食べる。
なんでこれがもっとサラダに使われないんだろうと思ってしまう。

生徒達が食べ出した、「サラダみたい」「葉っぱにしてはおいしいね」などといっている。
味覚が研ぎ澄まされる。

そこに聞こえてくるウグイスの鳴き声。
聴覚が研ぎ澄まされる。

自然の劇場、それは五感を刺激する劇場だ。

僕は平気…ではないが、草を抜いたり葉をちぎったりする。
また生徒にも時にそうすることをすすめる。
自然保護の精神に反するのではないかという批判も聞こえてきそうだ。

里山という言葉を作った四手井綱英氏はこんなことを言っている。

◆ 植物学者が子供の前で話すときも、葉っぱちぎっちゃだめだと、それが自然保護だと教えるヤツがいる。
私は葉っぱをちぎるのはいいと思う。樹は葉っぱ一枚や二枚ちぎったって枯れない。死なない。
そうやっているうちに葉がどんなことをやってるかわかって、自分からちぎらなくなる。それがいいのです。
葉や花をちぎるのをいろいろ叱ってたらどうなるか。さわらん方がええ、ということになる。
かえって植物に関心がなくなってしまう。
じゅず玉を摘んで腕飾りを作ったり、クローバーを編んで冠をつくったりすればいいんです。
虫もはじめは殺したりしているうちに虫が何をしているかがわかる。
蟻を踏んづければ死ぬ、死んだらどうなるかがわかる。
そのうちに自然に対する子供自身の態度ができてくる。それが自然の摂理です。
(森の人四手井綱英の九十年) ◆

小学一年まで昆虫採集に夢中だった自分は、この四手井氏と「昆虫を守るために昆虫採集を奨励している」奥本大三郎氏(ファーブル昆虫記の新しい翻訳で有名)の考え方こそ本当の自然保護に繋がる考え方だと感じている。
単なるきれい事を排した狼のロマン主義の考え方だ。

桜の木の下で昼食をとる。 コジュケイの鳴き声が聞こえてくる。
道の両側で鳴き交わしていた。
「チョットコイチョットコイ」って聞こえると生徒はまた大はしゃぎ。

キジ食事後、水辺の鳥を実に黒浜沼へと向かう。
今日の最大の目的はキジを見ること。
その目的は黒浜沼到着直後に達成された。
雄のキジが畑を悠然と歩いていたのだ。
みんなあの大きく美しい鳥が、こんな簡単に出現してしまうことに驚きを隠せない。
「キジが見られる可能性は百%」といってあっただけに少しほっとする。

もう一つの目玉としていたカワセミは見られなかった。
次の楽しみに繋がるという意味で、それもまたいいことだと思う。

今日今年はじめて確認した花
ハハコグサ、スズメノエンドウ、シロバナタンポポ、カントウタンポポ、ヘビイチゴ、アオキ、ヤマウグイスカグラ

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第16回自然劇場 2001年2月17日(土) 久喜市昭和池

新しい代での最初のそして新世紀最初の(大袈裟)自然劇場。生態系保護協会の冨田さんが取材に来てくださった。
関東地方では珍しいトモエガモが見られた。全部で三十五種の鳥が見られた、上出来だろう。


自然劇場に現れた鳥達
2001年2月17日(土) 久喜市昭和池
1 カイツブリ 2 カワウ 3 アオサギ 4 コサギ 5 ダイサギ
6 ゴイサギ 7 オオバン 8 オナガガモ 9 ハシビロガモ 10 カルガモ
11 マガモ 12 トモエガモ 13 ヒドリガモ 14 コガモ 15 キンクロハジロ
16 ホシハジロ 17 セグロカモメ 18 タカsp 19 キジバト 20 シラコバト
21 コゲラ 22 ハクセキレイ 23 ヒヨドリ 24 ジョウビタキ 25 ツグミ
26 シジュウカラ 27 メジロ 28 アオジ 29 オオジュリン 30 カワラヒワ
31 スズメ 32 ムクドリ 33 オナガ 34 ハシブトガラス 35 ハシボソガラス

新しい代での最初の自然劇場。
今は一年で一番多くの(数も種類も)鳥が見られる時期。期待に胸が膨らむ。
前日からの強風は朝も続いていた。鳥を見るためにはじっとしていなくてはならない場合がある。
カナダにオーロラを見に行ったときに着ていったジャケットを用意した。
しかし、午後になると風はやみ、ほかほか陽気に。
絶好の鳥見日和となった。
どうもこのジャケットはいざというときに役に立たない。
オーロラを見に行ったときはマイナス40度の寒さには耐えられず着ることはなかったし、
プラス10度では動くだけで暑い。

さて、今日は先日の劇を観に来てくださった、生態系保護協会の冨田さんが同行して、劇と自然劇場の活動をリンクさせた取り組みを取材してくださった。
ただ間違ってほしくないのは、取材のために自然劇場を行ったのではないということ、自然劇場の日に取材の依頼があったのだ。
冨田さんは「いいときに、取材できた」と喜んでくださった。
普段の活動をしっかり見てくれた上で、記事を書いてくださることは本当にうれしい。

さて、今日訪れた昭和池は生態系保護協会や野鳥の会の探鳥会が毎年開かれている、多くの水鳥が訪れる埼玉では代表的な場所である。ここは関東では珍しいトモエガモが毎年訪れることで知られている。
今日の目当てはトモエガモ。

太東中から昭和池までは自転車で40分くらいかかった。
自転車を止めて池に向かう林で早速鳥たちが声で迎えてくれる。
この時期は囀りと呼ばれる歌声が聞けないのが残念ではある、鳥の声は地鳴きという地味なものである。

はじめに姿を見せてくれたのがシジュウカラ、そしてカワラヒワ、ツグミ。
カワラヒワの「キリリ、コロロ」という鈴を転がしたような響きが心地よい。

メジロそして、目的の池に向かう。
逆光ということもありはじめは芦原にいる小鳥たちを楽しむ。
ここで現れたのがメジロの集団。
芦原にメジロというのはちょっと意外。枯れた葦の茎をつついていた。
「目が白い!」と喜ぶ生徒。
実際は目のまわりが白いのだが…。そんなつまらないことはもちろん言わなかった。
自分はメジロを見るのはもちろん楽しいが、メジロに夢中になる生徒達を見るのはもっと楽しい。

その後、ハクセキレイ、アオジ、ヒヨドリ、ムクドリなど次々と小鳥たちが現れ目を楽しませてくれた。

「先生、今までと違った鳥がいます」
茶色い鳥が葦にとまっていた。スズメだった。
このように鳥がたくさん現れる場所でスズメをスズメと言い切れることはけっこう難しい。

オオジュリンそこにオオジュリンが現れた。肉眼ではスズメに似た茶色い鳥である。
「オオジュリン」と大声で言ってみたがあまり反応はない。
「オオジュリンは過去十五回の自然劇場で一回も見られたことがない鳥だぞ」
と言ったとたんに、急にみんなの目の色が変わる。
僕が持ってきたフィールドスコープ(望遠鏡)に行列ができ、「かわいいーかわいいー」。
珍しいということが見てみたいという気持ちをふくらませる。
珍しい鳥ばかりを見ようとする鳥見には賛成しかねる自分だが、鳥見をはじめるときは仕方がない。
どんな興味の持ちからでもいいから、まずは興味を持って見ること。
身近な自然に深く目を向けていくのは次の段階だ。

さて、いよいよ今日の主役である水鳥を見ることに。
はじめに見られたのはカルガモ、マガモ、コガモ、ヒドリガモ、ホシハジロ。
何百羽のカモの中からトモエガモを探す。しかしこれがなかなか大変な作業。
もしかしたら来ていないかもしれない。
いないものは見つからない、これは科学的事実である。

探すのをやめたとき、そいつはあっけなく見つかった。
井上陽水・「夢の中へ」の歌詞のように。
「トモエガモだ」
この一声で、再び行列ができる。昨日から「この池ではトモエガモ」と宣伝しまくっていたから。
小鳥と違ってカモは一度見つければ、とんでもないところに飛び立ってしまうようなことはない。
じっくり紹介することができた。
頬についている黄色の巴模様に、みんなトモエガモの名前の由来を理解したことだろう。

シラコバト探鳥を終わりにしようとしたときにシラコバトが現れた。
埼玉県の県鳥である。
埼玉と接する栃木、茨城、千葉の一部を除いては埼玉東部でしか見られない、他県のバードウォッチャーにとっては憧れの鳥である。
しかし、全体の色は白ではなく灰色。キジバトよりは白いが。
そいつはしばらく地面を歩いてゆっくり観察を許してくれた。
そしてその後、目の前を飛んでいった。肉眼で尾の先の白色部分を確認できた。
さすが県の鳥、県民に対してのサービス精神旺盛である。

鳥合わせ(どんな鳥を見たかの確認)をしてみると全部で35種類(鳴き声を聞くことを含めて)。
上出来だろう。

終了後、冨田さんが
「びっくりしました。みんな最後まで鳥に興味を持ち続けてましたね。途中で飽きてしまうんではないかと思いましたが」
という感想を伝えてくれた。

確かにただ単に鳥を見に来たのなら、はじめに鳥を何種類か見たあと飽きてしまうだろう。
(実際なんの下調べもなく行った、以前の「自然劇場」ではそういうことがあった。何種類見ても全部「鳥」でしかないのだから飽きてしまっても仕方ない)
でも彼ら/彼女らは昨日、今日見られるだろう鳥を図鑑を見て勉強してきている。
彼ら/彼女らが見るものは鳥というだけでなく「シジュウカラ」であり「トモエガモ」であり「シラコバト」なのだ。
そして図鑑で知った鳥たちが、目の前で飛び、泳ぎ、鳴く。
平面的な姿が立体的なものとして立ち現れ、五感を刺激する。

僕は「名前を覚える」ことを大切にしている。
図鑑を通して覚える名前、そんな意味での「名前を覚える」ことは無味乾燥した響きがある。
しかし自分が言う「名前を覚える」ということは、単に「名前を覚える」ことだけにとどまらない。
「名前を覚える」ということは、違いを知ることでもある。
違いを知ることを通して、スズメをスズメと認識できる。
多様性を大切にすること、違いを大切にすること。それが僕がいう「名前を覚える」ということだ。
図鑑の知識だけにとどまらず、それが生きた体験にリンクしていくことなのだ。
それは「何?」から始まる。そしてその「何?」は「なぜ」に発展していく。
そして、多くの鳥を知ること(「何?」)は一つ一つの鳥をその違いを通して理解していくこと(「なぜ」)にも繋がる。
違いを大切にすること、それが「名前を覚える」ことの後ろにある大切なものだと自分は思っている。

鳥を自然を自分とリンクさせるもの。それは鳥に対する自然に対する畏敬の思いだと思う。
自分は広くさらに深く知ることによって畏敬の念を強くしていった。
それはレイチェル・カーソンのいう「センス・オブ・ワンダー」に繋がるものでもある。

池を一周してくると夕方になっていた。
時間のたつのが本当に早い「自然劇場」だった。
夕日を浴びた水鳥もまたいいものだ。

水鳥に人とどまれば夕日あり 中村汀女
水鳥の一羽一羽に夕映えす  松下千代

「楽しかったね」と言い合いながら、笑顔で帰っていく生徒達を見て思った。
子供たちの誰もが持つ、この「センス・オブ・ワンダー」を大切にしていきたい。

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