自然劇場の記録
第1回〜第5回
第1回自然劇場 1997年2月15日(土) 蓮田黒浜周辺
第2回自然劇場 1997年3月28日(日) 蓮田黒浜周辺(東埼玉病院周辺〜黒浜沼)
第3回自然劇場 1997年4月29日(火) 春日部内牧公園
第4回自然劇場 1997年5月31日(土) 白岡
第5回自然劇場 1997年11月8日(土) 春日部内牧公園

第1回自然劇場 1997年2月15日(土) 蓮田黒浜周辺

このときから今まで行っていた自然観察会の名称を「自然劇場」とする。記念すべき第一回「自然劇場」。その期待に応えトラツグミが出現してくれた。鵺(ぬえ)と呼ばれている自分にとってはとても魅力的な鳥。アオゲラという大型のキツツキもも現れた(このキツツキは日本にしか生息していない)。そこは素晴らしい自然の劇場だった。

自然劇場に現れた鳥達 
1997.2.15(土) 蓮田黒浜
1 カワウ 2 カイツブリ 3 マガモ 4 カルガモ 5 コガモ
6 ユリカモメ 7 セグロカモメ 8 イソシギ 9 コジュケイ 10 アオゲラ
11 コゲラ 12 キジバト 13 ハクセキレイ 14 セグロセキレイ 15 ウソ♀
16 カワラヒワ 17 シメ 18 ツグミ 19 トラツグミ 20 ジョウビタキ
21 シジュウカラ 22 カシラダカ 23 アオジ 24 メジロ 25 モズ
26 スズメ 27 ムクドリ 28 ヒヨドリ 29 オナガ 30 カケス
31 ハシボソガラス 32 ハシブトガラス 33 34 35

明日の天気が雨という予報のため、予定を1日繰り上げて黒浜周辺の探鳥会を開く。
1日のんびりの予定が、半日となるので慌ただしい。
いままでも自然観察会は開いていたが、今回からそれを「自然劇場」と呼ぶことにした。
自然という劇場を訪れそこに繰り広げられるドラマを観るという意味だ。教頭先生も一緒に参加することになった。

古利根川沿いを水鳥を楽しみながらサイクリングをし、目的の蓮田市黒浜に向かう。
はじめに東埼玉病院周辺の林を訪れた。

秋日自転車を止めると、そこにある桜の木に集団で鳥が飛んできた。見るとウソである。
このあたりでウソが出現するのは大変珍しいことだ。幸先いいぞ。
ただし、なぜか全部♀である。桜の芽をついばんでいる。きっと♂もやってくるだろうとまっていたが、なぜか♂は現れない。
♂ならのどにある赤の部分がきれいなのに…。

そこに教頭先生が質問に来た。「むこうにうろこ模様の鳥がいるんだけど、なんだろう」。
うろこ模様?もしかして…。その場所に行ってみたがそいつは藪の中に消えてしまったあとであった。
鳥の図鑑である鳥を指して、「まさかこれじゃないですよね」とたずねると、「これこれこれ」と教頭先生。
生徒達も口々に「これ、この鳥です」。その鳥はトラツグミだった。

この時期、トラツグミがこのあたりに現れても不思議はないが、そうちょくちょく見られる鳥ではない。
自分もここでは見たことはない鳥だ。
「トラツグミでてこい」。そう願った。そして、その願いが通じたのか、トラツグミがひょっこり現れた。
それもコジュケイを連れて。

このあたりはコジュケイが多いところで「チョットコイチョットコイ」でおなじみの鳴き声はよく聞かれる。
が、こんなに堂々と出てくることはそう多くはない。この2羽はそこに10分以上留まりミミズをほじくって食べていた。

生徒に、トラツグミという鳥がどんな鳥かを話して聞かせる。
鵺(ぬえ)の正体であるという話に興味を持ったようだ。
「ヒーヒー」という鳴き声が女性の叫び声にも聞こえるという恐ろしい話も、かえってこの鳥に魅力を与えることになったよう。
ただのうろこ模様の鳥が、妖しさに満ちた素敵な鳥に変貌した。

Oが突然叫んだ。「アオゲラ!」。今日のために図鑑で勉強した成果が現れた。
初めて見る鳥を双眼鏡で捕らえ「アオゲラ」と同定するのだからたいしたものだ。
この世界で日本にしか住んでいない大型のキツツキがここに現れるなんて。今日はなんてラッキーなんだ。
ただし、アオゲラは一瞬で飛び立ってしまったため、双眼鏡で確認したのは自分を含めて四人だけだった。
残りの生徒達の残念そうな顔といったらなかった。

太東中に帰る途中Hの自転車がパンクした。みんなで交代して自転車を転がしながら走って戻ってきた。
毎日やっていた縄跳びがこんな時に生きる。

いろいろあったけど、第一回「自然劇場」。上々の成果だったと思う。
なにより生徒達が鳥に夢中になったことがよかった。

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第2回自然劇場 1997年3月28日(日) 蓮田黒浜周辺(東埼玉病院周辺〜黒浜沼)

自然劇場第2回。1回目にトラツグミやアオゲラが見られたので期待が高まる。この日は弁当を持って1日探鳥。日本最小の鳥キクイタダキが見られる。沼ではタシギとコチドリを楽しんだ。全部で36種も見られる、楽しい「自然劇場」だった。

植物 黒浜病院周辺 セントウソウ、タチツボスミレ、ムラサキケマン、カキドオシの花が咲いている。
セントウソウが咲いているというのは結構すごい。

出発直後青毛堀でキセキレイを見る。全員に見せることができた。
コサギは夏羽の飾りバネがとてもきれい。
ユリカモメが2羽飛んでいたが1羽はもう夏羽になっている。頭のところが真っ黒である。
セグロカモメも飛んだ。途中コチドリを見る。黄色のアイラインに「かわいい」の声が飛び交う。

ここだけで20種以上確認。上々の滑り出しである。釣りをしている人が三日月湖ではカワセミもよく確認するという。
次の探鳥の時はカワセミ目当てでいってみようと思う。

続いて黒浜の東埼玉病院周辺の探鳥を行う。はじめはあまり鳥は出なかった。
アオジが水たまりで水浴びをしていたくらいだった(でも生徒にとってはアオジも初めて、雄のアオジに「かわいいー」。
見慣れたからといってアオジに見向きもしない生徒にはなってほしくはない)。

食事中に近くの木々に鳥が出現しだし急に忙しくなる。まずはキクイタダキが出現した。
松の木に結構長い間いた。頭の黄色が一瞬だが見えたことがとてもうれしい。キクイタダキは日本最小の鳥。
生徒達は「ちいさーい」と必死に双眼鏡でおっている。
激しく動き回るためにスコープに入れることはとてもできない。鳴き声はか細く優しい声だった。

そこでコゲラも出現。キクイタダキよりコゲラの方が生徒には人気がある。キツツキの仲間はやはり楽しい。
アカゲラのドラミングも何度も聞こえてきた。残念ながら姿を見ることはできなかったが。
ここは自然度がまだまだ高い。

食事の場所にもどると今度はシメの出現。シメは三度も現れてくれた。
続いて昨年から見たがっていたカケスがばっちり見られる。コジュケイも姿を現したということである。

食事後、前回は時間がなくて行けなかった黒浜沼に向かう。
ここではタシギが何羽も田んぼの中で餌を食べていた。タシギの嘴にみんな感動していた。
そして少し歩くとキジの雌が突然飛び立った。
ここでもコチドリを見ることができる。かわいい鳥だ。
のどかでとてもいい1日だった。

当日の日記には、全部で36種見たと書いてあるが、残念ながらその記録をなくしてしまった。

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第3回自然劇場 1997年4月29日(火) 春日部内牧公園

春の植物を探しに内牧公園に出かける。そこで発見したのはなんとキンラン。身近なところにも素晴らしい自然が残っている。生徒はコゲラというキツツキを発見。目の前で木をつついている姿に、思わず。「ニクマンで、ニクマンで見ました!」。演劇部の歴史に残る名言の誕生だ。埼玉の鳥シラコバトも見られた。


自然劇場に現れた鳥達 
1997.4.29(火) 春日部内牧公園
1 カイツブリ 2 カルガモ 3 マガモ 4 コサギ 5 ユリカモメ
6 ムナグロ 7 バン 8 カワウ 9 コジュケイ 10 コゲラ
11 カワラヒワ 12 オナガ 13 カケス 14 ハシブトガラス 15 ハシボソガラス
16 セグロセキレイ 17 ハクセキレイ 18 スズメ 19 ウグイス 20 セッカ
21 ツグミ 22 ヒバリ 23 ヒヨドリ 24 ムクドリ 25 モズ
26 キジバト 27 シラコバト 28 29 30

演劇部第3回自然劇場を開催する。途中カワセミを探すがなかなか見るのは難しい。しかし、古利根にそそぐ川はカワセミが見えてもおかしくないものであった。ユリカモメなどを見て目的の内牧に向かう。

途中でシラコバトを見ることができる。シラコバトは埼玉県の県鳥。
日本では埼玉県東部でしか見ることができない。
ただし最近は生息範囲が広がってはいる。
自分が住んでいる東岩槻の駅前では毎日その鳴き声を聞くことができる。
なんと駅のホームで、肉眼で見ることができるのだ。

内牧ではキジの鳴き声を聞く。

昼食をとったあと植物観察へ。たくさんの種類の植物を見ることができる。

副部長が「先生、わからない植物があるんですけど」と言ってきた。
彼女がわからない植物というのは珍しい植物ということである。
以前同様の質問があったとき、それはレッドデータブックで絶滅危惧種であるミゾコウジュであった。

彼女が案内してくれた場所にはかわいらしい黄色の花が咲いていた。キンランであった。
現在このような平地で見られる蘭は大変種類が少ない。

こんな身近なところにキンランがひっそりと生き残っていたなんて。
近くにはアマドコロの白い可憐な花も咲いていた。白と黄色の素敵な取り合わせであった。

やはり秘密の場所にフデリンドウ(春に咲く可憐なリンドウ)が咲いていた。その青の美しさに生徒達もうっとり。
フデリンドウを見ているときにHが興奮して走ってきた。小型のキツツキのコゲラが目の前にとまったようだ。
「先生、にくまんで、にくまんで見ました!」
まわりにいた生徒達みんなが一瞬固まった。演劇部の伝説に残る名言の誕生だった。

田圃にはムナグロが10羽以上いた。田圃に水が入るとこんなに集まってくるのかとびっくりする。

とにかくよく動き回った自然観察会であった。みんな日焼けしてしまった。

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第4回自然劇場 1997年5月31日(土) 白岡

生徒達の「カワセミが見たい」というリクエストに、カワセミが巣作りをしている秘密の場所に連れて行く。久喜市と白岡町の境で交通量も多く、「こんなところにカワセミが」という場所。コバルトブルーの飛翔に歓声が上がる。

生徒とともに、昨日発見したカワセミの場所に行く。
98パーセント見えるといっただけに責任を感じる。
途中ゴイサギやチュウサギを見ながら目的地に。
この目的地は久喜との境界線からたったの50メートル白岡に入ったとこなんだということがわかる。
久喜だったらもっとよかった?

始め近づいたときに翡翠の鳴き声が聞こえてきたので見られるという確信を持つ。
なんせカワセミはそこに営巣していたのだから。前日下見をしたときにもしっかりつがいを確認している。

目的地で少し探したあと無事カワセミを発見。全員カワセミを見ることができた。
コバルトブルーの美しい背中にみんな満足だった。

その場所で生徒が「これなんですか」と質問した草はコジュズスゲであった。
最近はカヤツリグサ科の植物をよく聞いてくる。生徒もずいぶん植物に詳しくなったものだ。
クサフジがたくさん咲いている。クサフジは美しい花だ。

帰りに古利根でカルガモが子供連れで泳いでいるところを見ることができた。
見慣れたカルガモではあるが、こんな風に子供連れで泳いでいるとなんともいえずかわいらしい。

途中Tの自転車がパンクし小島先生と自転車屋に。
2人が戻ってきたときにもカワセミはそこにいてくれた。よかったよかった。
しかし、出かけると誰かの自転車がパンクする。これにはまいった。

職員室に戻ったら先生方に「カワウソを見に行ったんだって」といわれた。
ニホンカワウソは特別天然記念物。ここら辺には当然いない。

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第5回自然劇場 1997年11月8日(土) 春日部内牧公園

田園の貴公子タゲリに会いに出かける。幸い、タゲリの集団を見つけることができた。こんな美しい鳥がこんな身近にいるんだと思える鳥です。


自然劇場に現れた鳥達 
1997.11.8(土) 春日部内牧公園
1 カルガモ 2 マガモ 3 イソシギ 4 アオサギ 5 コサギ
6 ダイサギ 7 ゴイサギ 8 ユリカモメ 9 セグロカモメ 10 タゲリ
11 オナガ 12 カシラダカ 13 ジョウビタキ 14 モズ 15 コゲラ
16 スズメ 17 ムクドリ 18 ヒヨドリ 19 オナガ 20 カケス
21 コジュケイ 22 ハシブトガラス 23 ハシボソガラス 24 25

新しい代になってからの最初の自然劇場に出かける。古利根ではイソシギを見る。
アオサギが現れたのはここでは初めて。コジュケイがよく鳴いている。セグロカモメが飛び、その後ユリカモメが現れた。
ユリカモメはマガモと一緒に水の中に浮いていた。
この時期にもう川にカモメが現れるとはびっくりであった。

内牧公園に着いてからはまずタゲリを探した。探し初めてすぐにタゲリが空を飛んだ。タゲリがここにいることをまず確認した。
先週見つけた場所と同じ場所にタゲリの集団がいた。西側斜面林の前の田圃である。
生徒たちはタゲリの美しさに感動していた。タゲリは本当に愛嬌のある鳥だ。

その後観察した鳥はカケス、ジョウビタキ♀(なぜか♀ばかり、はじめに♀が渡ってくるのだろうか)、モズ♂♀。
コゲラは声は聞こえるのだが姿は見えなかった。オナガが大群でいる。

アスレチック広場でゴイサギを見つける。幼鳥のホシゴイである。こんな人が多いところにゴイサギがいるのはびっくりであった。
真下に行っても逃げようとはしなかった。やはり夜行性の鳥だけある。

その後、北側の湿地+草原に出かける。スズメとムクドリの大群がいた。
草原にはカシラダカをたくさん見ることができた。シジュウカラも林に見られた。林からはカケスの声がよく聞こえて来た。

植物に関していえば、シロダモの花と実が同時に見られた。アメリカイヌホウズキが咲いていた。
ハキダメギクはまだ咲いている。ハナイバナやノボロギクの花も見られた。

生徒達はアスレチックに大はしゃぎ。小さな子供と一緒に歓声を上げて滑り台を滑っていた。

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